海外に移住、生活する福岡県出身者らが一堂に集まる「海外福岡県人会世界大会」が９日、開幕した。同日、福岡市内で開かれた記念式典には、ブラジル、ペルー、ハワイ、タイなど16の国・地域から26の海外福岡県人会の300人を含む、国内外の600人が出席した。世界大会は、３年ごとに各国持ち回りで開催しており、今回が８回目。福岡県での開催は2001年以来２度目。

　式典後には、歓迎レセプションが開かれ、終戦直後の移民の時期に海外に渡った移住者、その子孫から、近年発展目覚ましいASEAN（東南アジア諸国連合）へ赴任しているビジネスマンなど海外で暮らす多彩な県出身者が、国内の親族や関係者との再会や交流を温めていた。

　式典では、春日西小学校の児童が「春の小川」や「秋祭り」の合唱を披露。最後に、出席者全員で「ふるさと」を合唱し、久しぶりの故郷に様々な思いをめぐらせた。
　ペルーで生活するハシモト・ルシラさん（61）は、37年ぶりの帰国。夫のヒガ・クレメンテさん（65）は日系３世で、日本は初めて。ハシモトさんは「街並みや景色は変わっているけれど、（海外に移住する前の）あの頃を思い出す。来てよかった」と目を潤ませた。

　（公財）福岡県国際交流センターの新宮松比古理事長が開会宣言し、小川洋福岡県知事、松尾統章福岡県会議長らが挨拶した。小川知事は、ブラジル訪問で間近に知った移住者たち先人の苦労にふれながら、県人会の活動に感謝を述べ、「ルーツは福岡、夢は世界へ。未来につなごう、福岡の絆」と呼びかけた。松尾議長は「おかえりなさい」と心を込めて語りかけ、「県人会同士の交流を温めてほしい」と呼びかけた。

　海外県人会を代表して、南加福岡県人会の宗伸之会長が「共通の話題、悩み、出来事を持つ私たちが情報を交換し合い、実りのある大会にしたい。そのことでお互いのコミュニケーションがはかられ、絆を強め、次の世代に引き継いでいける」と挨拶した。
　米国で初の日系人知事となったジョージ・良一・有吉氏（元ハワイ州知事）が祝辞を述べ、「皆さまがここにいらっしゃることは、日本の功績、福岡で培われた文化や、進歩を共有するという誇りの表れです」と語った。

　世界大会は、12日まで。記念植樹や太宰府視察、トヨタ自動車などの企業視察が予定されている。また、北米ビジネスセミナーや南米・ブラジルセミナー、県人会フェアなども開かれる。

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