＜県外流通大手が出店攻勢、今秋から来夏11カ所が開業＞
　熊本県で今秋から来夏にかけ、イズミなど県外流通大手による商業施設の開設が相次ぐ。イズミの４店をはじめ、菊陽町にホームインプルーブメント（HI）ひろせとドン・キホーテ、宇土市に九州リースサービスの「クロスUTO21」、熊本市内にイオンタウンがオープンする。熊本県では昨年10月、イズミが地元スーパーの西紅を買収した。県内には中小スーパーが多く、大手の出店攻勢による経営悪化で第２、第３の西紅が出ないとも限らない。影響は避けられそうにない。

　表は、今年10月から来年7月までに開業する、熊本県における主な商業施設の一覧。大規模小売店舗立地法に基づき地元自治体に届け出があったもの。イオンタウンは届出を出していないが、県にガイドラインを提出済み。

　最も多いのはイズミの４店で、今月玉名市、来月JR熊本駅に近い西区田崎と、年内に２店をオープン。来年３月には熊本市の中心部に「ゆめタウン大江」、４月宇城市にゆめマート松橋を出す。ゆめタウン大江は日本たばこ産業工場跡地約１万9,000m²の敷地に１階建て、延床面積１万500m²の建物を建設。イズミの直営店（店舗面積7,100m²）や、ケーズデンキなどの物販店・飲食店約35店が入るほか、熊本森都総合病院などの医療機関とマンションを誘致する。約450台収容の駐車場を用意する。総投資額は土地代を含め約41億円。
　イズミはこのほか15年中に、九州自動車道・益城ICに近くに複合商業施設を作る計画。敷地約７万1,500m²、延床面積３万2,000m²で約1,400台収容の駐車場を備える県内でも有数の大型商業施設になる。

＜イオンタウンは来夏＞
　ゆめマート田崎の南側ではイオンタウン（株）が７月をめどにNSCを開設する。青果会社跡の敷地面積約１万5,000m²に２階建て、延床面積約5,000m²の建物を建設。１階にマックスバリュ九州、２階に飲食店などが入居する。マックスバリュ九州は近くにある店舗が老朽化しているため移転する。似たような商業施設が隣合わせに並ぶことになる。
　イオンタウンはイオンと大和ハウス工業が中規模商業施設の開発を目的に共同出資で設立したもので、１昨年イオンの全額出資になったのを機にNSCの開発・運営に特化、全国展開に乗り出している。来年、北九州市八幡西区黒崎にも出店する。

＜菊陽町ではDS２社＞
　熊本市郊外の菊陽町では、福岡スタンダード石油（株）（本社:久留米市）が、東京エレクトロン九州の工場跡地に開発する商業施設にHIひろせとドン・キホーテが出店する。11月HIひろせが「スーパーコンボ」、12月ドンキが日配チルド食品を扱う「メガ・ドンキホーテ」（店舗面積約5,100m²）を開く。ドンキは３月、飯塚市に通常店舗より大型のメガ・ドンキ九州１号店を開業、菊陽が２号店。DSが同一施設に２店出店するのは珍しい。スーパーコンボは生鮮を扱う生活必需品主体のスーパーセンターで、一方のドンキはアパレルや時計宝飾品が強く、かえって相乗効果が増すと判断したと見られる。
　11月には九州リースサービス（株）が宇土市水町に約25億円をかけ店舗面積１万3,000m²の大型商業施設を建設する。施設名の「クロス」は、国道３号線と同37号線が交差する場所の意味を込めたもので、交通の要衝であることから広域から集客する。マックスバリュ九州やケーズデンキ、スポーツデポなど13テナントが入る。870台収容の大型駐車場を設ける。
　７つの商業施設の店舗面積を合計すると５万m²を超す。大型郊外型商業施設１カ所分の規模とはいえ、地元スーパーへの影響は避けられそうにない。

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