「個別指導塾スタンダード」を全国展開する(株)SCホールディングスの吉田知明社長(41)。「教育の機会均等」を掲げ、誰もが利用できる安価で効果的な学習指導を志し、独立・起業したのが29歳の時。教室数は200を超え、海外にも進出。国内1,000教室と海外展開を目指し、勢いを加速させている。
<学習塾業界の再編が進むなか、個別指導へ事業を集約>
――個別指導塾スタンダードはどのような層をターゲットにしているのでしょうか。
吉田 知明(以下、吉田) 生徒は中学生が約6割、高校生3割、小学生1割となっています。
学習支援を求める生徒たちに対しきめ細かい指導で効果をあげるとともに、値ごろ感のある価格設定で保護者の負担も軽くできるよう努めています。
――家庭教師派遣から個別指導への転換を進めたのはいつ頃からでしょうか。
吉田 弊社が個別指導塾を初めて開設したのは2004年です。
家庭教師の場合、それぞれのお宅に訪問し勉強部屋などの学習スペースで指導を行なうわけですが、都市部ではプライバシーの問題なども影響し、自宅に家庭教師を入れることに抵抗を持つ層が増えてきました。
また、家庭教師の場合は1対1の指導になるわけですが、個別指導では同じ時間に2名を教えることができるので、人件費の面からも効率が良くなります。
それで弊社としても個別指導の展開を考えたのですが、当時兵庫県を任せていた責任者が手を挙げてくれ、また信頼できる人間でしたので任せることにしました。
――反響はいかがでしたか?
吉田 当初から生徒も集まり、また評判も良かったのですが、大きな転機となったのは08年のリーマン・ショックです。景気が低迷し家計収入が落ち込んだ影響を受け、家庭教師の部門は解約率が上昇したのですが、個別指導の方はほとんど落ち込みませんでした。
個別指導の方が安定した収益をあげることができると経営判断し、家庭教師の新規展開を中止して個別指導の方へ経営資源を集中しました。これが功を奏し業績の拡大につながりました。現在では売上の95%以上を占めるまでに至っています。
――顧客のニーズをうまくつかむことに成功したわけですね。業界大手をはじめ、個別指導の領域でも他社との競合があると思いますが、御社の特徴は。
吉田 同業他社では年間80万円程度の費用がかかるところもあるようですが、弊社の場合は月額2万円です。週1回1万円から始められるコースを設定している教室もあります。
富裕層やすでに学力の高い生徒たちよりも、そうではない方がボリュームは大きいので、伸びしろはまだあると考えます。
それぞれの生徒に合わせた学習プランを立てますが、講師まかせにしては内容にばらつきがでますので、生徒がつまずきやすい箇所などをデータとして蓄積し、それぞれについてのカリキュラムをオリジナルで開発しています。これを、それぞれの生徒の学力に応じて組み合わせていくことで、効果的で質の高い学習指導を行なうことができます。
生徒が困っていること、わからないところを把握し、これに適切な助言と指導を行なっていくことが大切です。
<COMPANY INFORMATION>
(株)SCホールディングス
所在地:福岡市博多区店屋町8-17
設 立:2011年11月
資本金:1億3,759万7,852円
売上高:(13/4連結)約35億円
従業員数:連結272名(13年6月現在)
TEL:092-283-1188
URL:http://sc-holdings.co.jp/
<プロフィール>
吉田 知明(よしだ・ともあき)
1972年生まれ、鳥取県出身。学卒後、家庭教師派遣会社にて勤務。2001年にスタンダードカンパニーを設立、代表を務める。その後、店舗内装会社などの設立やM&Aによる会社取得など多角的な展開を行ない、11年11月に(株)SCホールディングスを設立、代表取締役に就任した。
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