11月1日よりイオン(株)が全店で食品フロアにおけるレジ袋無料配布を中止する。これまでは、顧客に無償で提供されており、レジ袋の使用を辞退した場合には2円引きを行なっていたが、このサービスも廃止になる。1日以降にレジ袋を希望する場合には、環境に配慮したバイオマス素材のレジ袋をLLサイズ1枚5円で販売する。
小池百合子環境大臣時代から環境問題が叫ばれだし、徐々に小売店のレジ袋削減運動が取り組まれるようになった。12年7月よりウォルマートグループの西友、サニーではすでにレジ袋は有料化している。今回、国内流通業界最大手のイオングループがレジ袋有料化に取り組むことで、レジ袋有料化の動きが一気に全国に広がることも考えられる。
レジ袋を有償化することの企業側のメリットとしては、経費削減となることが挙げられる。レジ袋を消費者へ無償提供する場合、レジ袋代金は小売店が負担している。薄利多売、競合激化の流通業界にあって、レジ袋代金はちりも積もれば山となり膨大なコスト。有料化となれば、顧客には数円という価格で必要な枚数を買ってもらうか、自身の保有するバッグや、エコバッグに入れて持ち帰ってもらうこととなる。小売店から見れば今まで負担していたレジ袋代金がなくなり、経費削減となる。
しかし、レジ袋有料化はコスト削減となるはずだが、別のコストが増加することが懸念されている。レジ袋削減に大きな役割を果たしているエコバッグだが、実は厄介な面も含んでいる。「エコバックで万引きされた場合はレジ袋のケースより捕まえにくい」(スーパー経営者)ということだ。
万引きの場合、店内で疑わしい客を見つけたとしても、その場で声をかけ、すぐに捕まえることはできない。多くの場合、疑わしい客が店外に出て、代金を支払う意志がないことが明らかであると確認した時点で初めて万引きとして取り扱うようになる。もし、店側の勘違いで万引き犯ではなかった場合、顧客を不快にさせ、顧客からの信用問題にもつながってしまう。そのため、店は非常に慎重になる。
買物後に配布されるレジ袋と違い、顧客はエコバックやマイバックを買物前から持参している。バッグは顧客の私物であるため、疑わしいケースであってもレジ袋のケース以上に慎重にならざるを得ないのだ。そのため万引きを未然に防ぐために、場合によっては、万引き対策の私服警備員の増員や、防犯カメラの増台など万引き対策を強化する必要も出てくる。そうなれば、レジ袋削減によって得られる経費削減効果と万引き防止にかかる費用のどちらをとるのか、という話にもなってくるのだ。
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