高齢に差し掛かった経営者の引退に伴う閉店が増えてきた中洲。ついに高齢者向けマンションが中洲２丁目に建設中とあって、艶やかな「西日本一の歓楽街」でも、高齢化社会という現実が感じられるようになってきた。そのようななか、閉店したテナントで新たに夢を追い求める若手経営者も少なくはない。新卒で就職した冠婚葬祭の会社から、脱サラしてスナックの店長になった「メンバーズ ピエロ」のＭ氏もその１人だ。

　現在29歳のＭ氏のスナックは今年１月にオープンした。女性スタッフは同年代がほとんどだが、夜の世界が初めてのＭ氏にとってみな先輩。前職である程度の接客は学んでいるものの、水商売のしきたりは店を切り盛りするなかで体得した。1,900もの店が軒を連ねる中洲は、とくに水商売では超激戦区である。そのなかでＭ氏のスナックは気づけばもうすぐ１周年を迎えようとしている。この頃は、常連もでき、ひと月の店の売上も計算できるようになってきた。経験的にゼロから始めたことを考えると、快挙と言って間違いないだろう。

　オープン当初から働いている女性スタッフにＭ氏の印象を訊いた。「頼りなさも感じるけど、アドバイスやリクエストをしっかり聞いてくれて丁寧に対応してくれます」と、加護○依似のＭさん。みなが「誠実」と口を揃えるＭ氏は、午前１時までという営業時間もオープン当初から厳守。台風で店ごと休みにした時以外は１日も店を休んだことはない。「おかげで２度ほど、風邪をうつされましたが・・・」と、滝川クリス○ル似のＲさんは苦笑い。

　スナックのような小規模店にとって看板同然の店長やママは、自ら営業活動に励まなければならない。店の差配に慣れてきたＭ氏も人脈拡大に努めている。最近では、早朝の異業種交流会に参加。店が終わり、後片付けと女性スタッフの送迎をした後、当然、寝る暇はない。また、フェイスブック（おすすめリンク参照）も活用し、イベント情報の発信もこまめにやっている。SNSは常連客と女性スタッフとのコミュニケーションの場にもなる。若手ならではの新時代のツールを使った集客方法だ。

　店のオーナーが、アットホームな雰囲気を追求し、内装にもこだわった「メンバーズ ピエロ」では、常連客や女性スタッフが家族同然にＭ氏の成長を支えている。オープン以来、女性スタッフの入れ替わりがほとんどないのも特長の１つ。その誠実な人柄が店にとって大きくプラスに働いていると言えるだろう。百戦錬磨のプロたちが密集する中洲で、Ｍ氏を店長に抜擢したオーナーの慧眼には驚かされる。大型台風の暴風が吹いていた夜も、同店からは賑やかな笑い声が聞こえていた。

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