スーパーマーケットがレジ袋の無料配布を止めることで、使用頻度が大幅に増えることが予想されるエコバッグ。レジ袋削減の救世主の面も持つが、エコバッグが増えることで前述の万引き問題以外にも、懸念される点がある。
まず、エコバッグの「容量が限られる」ことによる、客単価下落の可能性だ。
毎日毎日スーパーに通い、必要な食料だけ購入するような顧客の場合、エコバッグは一つで事足りるだろう。しかし、忙しい現代社会にあって、時間があるときに必要な食料をまとめて購入する顧客も多い。買い物カートにあふれんばかりにまとめ買いをする人が、エコバッグ1つで事足りるとは考えにくい。
そのような顧客の場合、エコバッグを使用すると、何個も持参するはめになる。しかも、レジ袋を購入すれば数円単位だが何枚も購入しなくてはならない。すると、「エコバッグに入る量しか購入しない」と持参したエコバッグの個数や容量を考慮した買い物になり、今までより控えめに購入する場合があるのだ。控えめになることにより、今まで行なっていた、ついで買いなどが減ってしまう可能性はある。
ただし、1回の買物を控えめにする代わりに利用頻度が増えることが考えられる。単純に増えると考えていいものだろうか。そこで考えられるもう一つの懸念材料は、他店へ顧客が流れることである。特に一度にまとめて購入するようなケースの場合、レジ袋有料化に乗り出す企業と無償で提供している企業の店舗が近隣にあれば、「レジ袋が無料の店舗に買物に行こう」という心理が働く可能性はある。そうなれば、他店に顧客を奪われ、売上高が減少する可能性があるという面も否定はできない。
レジ袋有料化で、万引きリスクの増加、客単価の下落、顧客流出の可能性があるなど、単純にレジ袋コストが下がるだけとは言い切れず、一筋縄ではいかない。レジ袋有料化の取り組みは吉と出るか、凶と出るのか――。今後の動向に注目だ。
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