<ショムニなサラリーマン世代>
バブルがはじけ始めた頃からであろうか。「牧歌的な」営業マンたちは、同世代もしくは年下の課長から疎まれてしまった。面白いことに、ノリノリでブイブイいわせていた「バブル組」社員らでさえ、新入社員当時はあれだけ50代の先輩営業マンらを「使えね~オヤジ」扱いしていたのに、今やその「バブル組」の半数以上が、40代にして早くも「使えね~オヤジ」化しているのは皮肉なものである。
一方、現在の部長や役員クラスの面々は、連日連夜、全国各地を忙しく飛び回っている。なにせ食品業界って、パーティや会合などのフォーマル・インフォーマルを合わせ、各種行事が目白押しの世界。立場上、読み込まなければならない資料も膨大だ。そんなバイタリティの原動力は、「勝ち組」であることのモチベーションにこそある。
当然のことながら、次席ポストにあるラインマネジャーも、目の前にニンジンをぶら下げられている状態にある。ナルホド、組織ってうまいことできている。結局、40代後半以上の「牧歌的」社員は蚊帳の外だ。部長以上と「飲ミュニケーション」する場面はほとんどない。忙し過ぎて、物理的にそこまで手が回らないのが実情なのだ。気が付けばぽつんと取り残された感満載だ。そして、「精神的ショムニ」なサラリーマン人生へと追い込まれていく。職場も事実上の「ショムニ」へと配置転換だ。ささやかではあったが、充実していた過去を捨てきれず、今宵もまた同類な呑んべえ仲間と連れ立ち、「会社&上司の悪口」を酒の肴に今宵もボロボロにとろけていく。
<老兵は死なず、ただ消え去るのみ>
さて、現在の主流派である20代~40代サラリーマンらにとって、こんな話はど~でもいい話である。そもそも、「ちょっと行く~」的ノリのアフターファイブっていうのがウザいし、面倒臭い。かといって、まったく付き合わないわけではない。事前に日時を決めて設営すれば、たまには付き合ってくれる。上司もそれなりに「企画力」を問われる時代なのである(汗)。
昨年の年末のことだ。黒沢商事の竹田本部長と昼メシを食べながら打合せをしていた時のこと。竹田本部長は小生より3歳程年上だ。
「最近、メーカーの支店長や部長さんたちって、世代交代して、ボクや山笠支店長と同世代の人が増えてきて良かったですよ」
「ど~してですかぁ? やかましいのがいなくなったとか・・・(笑)」
「それもそうなんですけどね(苦笑)、ようやく演歌世代からロック世代に変わったというか、ディープパープルとかツェッペリンのネタが最近普通に出来るようになってねェ」とニコニコ笑うのだ。
他人様のことを言えた義理ではないが(汗)、正直、小生には竹田本部長の見事に後退した寂しいおでこから、ヘビメタやハードロックが大好きだったとは夢にも思わなかったのだが・・・。そ~だよなぁ、もう10年もすれば、AKB48の「ヘビーローテーション」を振付つきで歌っている上司を見て、「オヤジだぜぃ」ってバカにしている部下が現れるのかも、なんていう情景が日常茶飯事になっているんだろうなぁ。そんなこんなで近未来に思いを馳せる。しかもお酒ではなく、ソフトドリンクで乾杯なんかする世代を・・・。おごれる者久しからず? いや、老兵は死なず、ただ消え去るのみ・・・(苦笑)。
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<プロフィール>
山笠太郎(やまがさ たろう)
1960年生まれ。三無主義全盛の中、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。
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