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福岡県詩人会会員・麻田春太氏、「竃(へっつい)の歌」上梓
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2013年10月17日 14:06

 人はいつの時代も強者と弱者が共存する社会でアンバランスな生を紡いでいる。ふとしたはずみで弱者に「堕ちてしまった」と思うものこそが、実は強者であることもある。

hettuinouta.jpg 麻田春太氏は、1943年福岡市博多生まれ。経営者であった兄が会社と家族を守るために自殺をしたその後、会社の再生、継続に6年間尽力した。だが惜しくも力尽きる。会社を放した後も返済に追われ、弱肉強食社会の底辺を見据え続ける羽目になる。
 自身の人生を、「幼い頃から死に遭遇」してきたと振り返る。実父、養祖母、長兄の義姉、次兄、兄嫁、長兄......自分自身も死に際から甦ってきた経験がある。

 だが詩心とは、人生を奈落の底から見上げたときにこそむしろ浮かび上がる。「私は、絶対に自殺はしてはいけないと、つくづくと思い、自分はこのまま生きながらえ、重苦しい人生を、詩をつむぎながら、これから生ある限り書き続けたい」(麻田氏)生理現象のように迸る言葉は、軋轢を耐え抜いて歩む強者にこそが生む糧のようだ。

 1963年に「素寒貧」を創刊、同人誌「福岡詩人」「異神」を経て、現在「九州文学」同人、福岡県詩人会会員。82年に詩集「アポリアの歌」で第13回(82年度)福岡市文学賞を詩部門で受賞。
 詩集「竃の詩」は第7冊目の詩集。以下、表題作を抜粋する。


竃(へっつい)の詩

薄暗い台所に立っていた
飯炊きは俺の仕事
飯を流しながら
烟る口火に薪を焼べる
噴き上がるまで 待て!
甲高い声が走る
息子ばかりの母にとって 俺はへっついだ
目眩む青光りの中で
鮮明に浮かび上がってくる時空よ

俺は
あのじめじめした薄暗いおりの中で
いくつもの 死を受け入れた
へっついは 俺の原点だ
食べるものもなく
母子(おやこ)水だけで過ごす
逞しさを
俺たちは享受した
馬鹿正直な父は狂い
麩のような生を終えた
俺の血は青い
滑(ぬめ)るような叫びを 点々と滴らせている
その時

ゲリラ豪雨が襲いかかる
みるみるみるみるみるみるみるみるみるまに
床下から
床上へ
糞尿があちこちに
ぷかり ぷかり
ぷかり ぷかり
母を背負って屋根に登り
俺は 空に向かって叫んだ
―へっついたい―

※へっつい竈(かまど)。鍋・釜などをかけて煮炊きする土煉瓦などでできた設備のこと


■麻田春太氏詩集「竃(へっつい)の歌」読者プレゼント実施中!

 ご希望の方はメール、もしくはFAXにて、1.氏名、2.郵便番号、3.住所、4.電話番号、5.年齢、6.職業(会社名、所属)、7.NET-IBのご感想をご記入のうえ、件名に「麻田春太氏詩集、読者プレゼント係宛」と明記し、下記アドレスまたはFAXにお送り下さい。

お申込み専用アドレス:kuroiwa@data-max.co.jp
FAXの場合はこちら 092-262-3389(読者プレゼント係宛)


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