日本マーケティング・マネジメント研究機構(JMMO)主催の第13回「増販増客コンファレンス2013」が19日(土)、都心のホテルで開催された。会場には、日本全国の税務・会計事務所等から約100名の税理士、会計士、経営者等が参集。発表者の「中小企業・商店の売上増、V字回復成功例」に聴き入った。後半には、ゲストとして、参議院議員渡邉美樹氏が登壇、熱弁を揮った。
<一番大事なのは「思い」(生きざま)である>
渡邉議員は講演冒頭、中小企業庁の「経営革新等支援機関」認定制度に触れ、現状、405億円の準備金(補正予算)に対し、約10億円しか利用されていない実態を報告した。経営革新等支援機関や対象となる中小企業に、もっと勉強して有効活用してほしいと語った。
そのうえで、ワタミグループ創業者の経験を踏まえ、「中小企業の見方」に関して独自の視点を披露した。「経営にとって最も大事なのは"思い"(生きざま)です。会社をどんな思いで経営していくのか、将来会社をどんなかたちにしていきたいのか、この点が明確になっていることが大事です」、さらに「経営とは、できないことをできるようにすることです」と語った。
渡邉議員は、世の中の多くの人が「できない」と思っているときは、「めちゃめちゃなチャンスなのです」と言う。その意味を『ドラえもん』を引用しながら、「常に方法は無限大にあります。"できない"というのは、自分の今までの経験や知識で、できないだけであって、絶対的なものではありません。未来にはできるようになる可能性があり、今でも1,000倍勉強すれば、できるかもしれません」と解説した。
参加者の多くを占める「経営革新等支援機関」認定事務所の税理士、会計士等に「ぜひ、中小企業の魅力を引き出すビジネスサポートをしてください」とエールも送った。
そして、「"できない"で留まることは、普通のように思えますが、実は経営に普通はなく、破綻や廃業につながる可能性があります。この点から考えると、経営は格闘技であり、その凄まじさはK-1やボクシングの比ではありません。逃げたい気持ちが生まれ、心が引け、お腹(丹田)に力が入らなくなったら負けてしまうわけです」と結んだ。
<中小企業と地方経済に厳しいアベノミクス>
JMMO主宰者である高橋憲行氏は、「アベノミクス」の日本全体におよぼす景気高揚効果を評価する一方で、「中小企業と地方経済に厳しいアベノミクス」の現状を語った。
「アベノミクスの第1、第2の矢の効果で、輸出型大企業は好調になり、株価にも影響。金融、建設、不動産は活性化しました。しかし、首都圏の東京、横浜の億ションの売上は昨対比150%であるにもかかわらず、全体で見るとGDPは3.4%しか伸びていません。つまり、"成長戦略"と言える第3の矢は、総花的で相互の連関がなく、大きな相乗効果が今のところ期待できません」と語った。
さらに、「逆にデメリットが大きくなっています。とくに地方は大変です。オリンピックの中小企業への経済波及効果がまだ不透明ななかで、来年の4月に消費税が3%アップします。円高、消費税アップのダブルパンチで起こる実質5%~8%のアップを価格に転嫁できる地方の中小企業・商店はほとんどありません。東京でも、輸出型大企業と縁のない中小企業は同様です。14年末には、3月頃まで続く駆け込み需要の効果も薄れ、中小企業にとっては大変な事態(破綻、廃業)になることが予測できます」と続けた。
そして、「経営革新等支援機関」に認定されたほとんどの税務・会計事務所はマーケティング(増販増客や売上等)の話ができないので、JMMOの会員が活躍できる大きなチャンスとエールを送った。
コンファレンス終了後は、会場を移し、特別ゲストの渡邉美樹参議院議員をまじえて、懇親会・会食および握手会、撮影会等が実施された。
【注】
日本マーケティング・マネジメント研究機構(JMMO)
1999年11月、「日本経済の活性化は中小企業・商店の活性化から」を合言葉に、全国の会計人が立ち上がって組織。現在、170の税務・会計事務所等が所属。会員のほとんどが「経営革新等支援機関」の認定を受けている。CTPTマーケティング(Concept、Target、Process、Tool & Events)の月例・勉強会を東京、福岡、大阪、名古屋で開催。この10年で会員の成功事例は数千を超え、動画を含むコンテンツ収録だけで約500事例を有している。主宰者は、高橋憲行 (株)企画塾 代表取締役。
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