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脱原発・新エネルギー

市民出資の自然エネルギー事業、拡大の動き(中)
脱原発・新エネルギー
2013年10月22日 07:00

<自然エネルギーの先進県・長野>
iida.jpg 長野県は、1つの地域で1つの自然エネルギー事業を行なう「1村1自然エネルギープロジェクト」を推進。2013年を「信州自然エネルギー元年」と位置付け、自然エネルギー事業の立ち上げなどを支援し、コミュニティのエネルギー自給率の向上と地域経済の活性化を図っている。自然エネルギーの先進県と言える。
 この取り組みに関して、飯田信用金庫など地元金融機関からの理解もあり、民間から、おひさまファンドに代表されるような市民参加型の発電事業を手がける事業者も出てきている。
 長野県は、冬場の暖房費など燃料費に困ることが多く、もともと「どうやって自然を生かしてエネルギーを作り出し、効率的に使うか」ということに関心が高かった地域だ。住宅の燃費を示すエネルギーパスの表示を導入するなど、エネルギーに関する先駆的な取り組みも行なっている。現在の阿部守一知事になって、一層、自然エネルギーを推進する流れになった。

 また、北海道では、風力発電で成功事例を築いている。北海道浜頓別町では01年から、NPO法人の北海道グリーンファンドが市民出資による風力発電事業を手がけ、「はまかぜちゃん」という風車を回した。05年に、北海道グリーンファンドが中心になって市民から資金を集め、石狩市に風車2基を設置。この地域に吹く強風をエネルギーに活用している。

<長野、北海道の成功事例が全国へ>
 今回の市民出資型、ご当地エネルギーの取り組みで先頭を切る「おひさまファンド」や、北海道の市民風車が、先行して成功事例を作ったことは大きい。地域で発電事業を行なうにあたって、地方銀行など金融機関と協力関係を結ぶ際に、長野や北海道での成功事例が大きくモノを言う。
 北海道で風力発電事業に携わる自然エネルギー市民ファンドの鈴木亨社長は、「北海道では、地元企業やNPO団体が立ち上がりつつある。金融機関の信頼も高まってきている。今後、長野のおひさまファンドのような成功事例が他地域でももっと出てくれば、地銀と提携関係を築いて、地域で発電事業を行なう流れがより進むのではないか」と語った。

 17日に募集を開始したおひさまファンドに続き、山口県の「みんなで応援やまぐちソーラーファンド(仮)」(太陽光)、小田原市の「ほうとくソーラー市民ファンド(仮)」(太陽光)などが募集を開始する予定。地元の金融機関、企業、団体などと協力体制を築きながら、市民が気軽に参加できる自然エネルギー拡大のムーブメントを起こしていく。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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