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チャイナビジネス最前線

土産がイマイチだった台湾に新しい流れが到来!?
チャイナビジネス最前線
2013年10月22日 07:00

 台湾は現地で食べるグルメの豊富さでは「世界一」と言われるのに「土産」の面での評価は総じて低い。「台湾に行って美味しいものをたくさん食べたけど、さて日本に何を土産に買って帰ろうか」と悩む観光客も少なくない。空港で適当に見繕って買うも、もらった人が良い反応を示さない場合も多い。日本各地の土産の質、美味しさが急激に高まり、日本人の「土産」に対する「舌が肥えた」というのも原因の1つ。しかし一方で、台湾文化のなかで「土産の味」にこだわる文化が少なかったから、という説もある。

taiwan.jpg 「牛肉乾(台湾式ビーフジャーキー)を買ったが日本の税関で没収された」という例もあれば、「牛軋糖(ミルクと練り飴で作ったキャラメル風アメ)を食べていたら歯にくっついて入れ歯が取れた」というケースも報告されている。実際、食べ物ではなく「中華雑貨」を買って帰る人も少なくないが、日本のインテリアと合わず、「ありがた迷惑」と捉える人もいる。台湾のかたちをした固形石鹸などが土産物として定着しつつあるが、液体石鹸が定着しつつある日本人にとっては、贈る側の自己満足の面も強く、もらった人にとっては「実用性」は低い。

 しかし、昨今の「台湾」に対する世界からの注目を受け、観光客が大量に流れ込み、機を逃すまいと台湾土産品業界も本腰を入れ始めたようだ。食品関連で、従来からの定番は「茶葉」だが、これまでのものに「本格指向」が加わった。「茶葉」は台北市内でも各地に店があったが、急須(台湾の本場では専用の小さい茶器を使い、入れ方も異なる)が違ったり、苦みを持つものがあったりと、「買って土産にするのは定番で便利だが、もらう方の反応がばらつく」というのがこれまで。しかし、最近は「日本の急須でも大丈夫」なように茶葉が大きく、茶葉包みのデザイン性もあり、日本語や英語説明が増えた。味わいも「日本人が好みそうな」ほんのり甘い香りのみに限定している店もある。

 定番のもう1つ、「鳳梨酥(パイナップルケーキ)」も、「バターが強く甘ったるい」という声が聞かれたものの、最近は、パイナップルの素材にこだわり、甘さを押さえたものも目立つようになった。台湾中部・南投に本店を持つ「微熱山丘」が本格指向での最先端的存在だ。栽培に1年半かかるパイナップルを使い、果肉の繊維質を残すような食感を出し、甘さ控えめ。日本製の小麦粉を使用し、外側のサクサク感を引き出している。

 台湾人気の高まりを受け、業界も質の追究に余念がない状況のなか、台湾が土産物の面でも「食」の世界一になる日も見えてくるかもしれない。

【杉本 尚丈】


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