日本の大使館にあたる「台北駐日経済文化代表処」の代表として、日台交流の重要な役割を担った許世楷氏の講演会が20日、福岡市で開催された。1934年台湾・彰化市生まれの許世楷氏は、政治学者、歴史学者でもあり、「台湾独立運動」でも大きな役割を務めてきた。
「台湾での調査で『あなたは台湾人ですか?中国人ですか?』という質問に対し、『台湾人』と答えたのは77.6%、『中国人』と答えたのは10.1%。また、『両岸が統一する』のに賛成が25.9%。『台湾が独立する』が59%。『現状維持(中国の一部にも入らない)』が10.3%と、台湾人の多くが『中国の中に入りたくない』と答えている。『あなたは自分の国を何と呼ばれたいか』という質問に対しても、『台湾』が78.9%。『中華人民共和国』が2.4%。『中華民国』が9.6%という結果になった。台湾と中国の関係は『国と国の』関係だと李登輝総統は言い、陳水扁氏は『それぞれの国』と表現した」と、民意を挙げながら「台湾は独立するべき」という見解を示した。
許世楷氏は、2004年から台北駐日経済文化代表処代表を務め、在任中は台湾人観光客の査証免除、運転免許証の日台相互承認を実現。津田塾大学名誉教授も務めている。「7年後の東京オリンピックには、『チャイニーズタイペイ』という名称ではなく『台湾』とはっきり呼んでほしい。台湾にとっては今後進むべき道は、最終的には2つで、『中国に併合されるか』『中国の外に出て、主権国家として生きていく』のどちらかだ。中国は武力を使ってでも奪い取るような国で、ミサイルを2,000機ほど台湾に向けている。台湾にとっても中国の脅威は大きい」と警戒論を展開した。
「仮に中国に組み込まれたら、自由がなくなり、人権がなくなる。一党独裁で選挙も無い。権力闘争が激しく、民主的ではない。一方で、台湾は言論の自由も選挙もあり、日本と共通の社会価値観を持つ。腐敗した政治の中国に台湾がわざわざ入っていくということは考えられない。アメリカ、日本、東南アジアで共通の社会的価値観を持つ国々と手を組んでいかなければ台湾の安全は守られない」と、台湾の安全保障についても触れた。
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