反対意見を踏みにじるかたちで強行され、建設工事が行なわれている(社福)福岡市保育協会 中央保育園の移転事業。現在も、市議会では同事業の不透明なプロセスへの追及がなされており、現・移転予定地の保育環境を問題視する同保育園の保護者や保育士らは反対運動を展開している。
そもそも同保育園は、現地建て替えが計画されており、予算も計上され、市議会の承認も受けていた。これを覆したのは誰か。複数の関係者の証言から、高島宗一郎福岡市長であるとの可能性は高まっており、背任の疑いで刑事告発もされている。21日に行なわれた市議会 決算特別委員会の総会でも、共産党市議団の星野美恵子市議(中央区)が質問に立ち、市長の関与を追及した。(関連動画13分45秒~)
同委員会における質疑応答の内容を整理すると、吉村展子こども未来局長は、(1)2011年4月下旬から、中央保育園の移転予定地を探し始めた、(2)現地建て替えと単独移転の両面を検討していることは当時の副市長に相談していた、(3)単独移転を決定した同年7月26日の市政運営会議の前に、移転の検討について高島市長にも報告していたなどとした。((3)については、総会前に行なわれた分科会における吉村局長の市長に報告していないとする答弁と食い違いがあり、議事進行が中断する事態になった。)
つまり、単独移転の検討は、高島市長の指示を受けてのものではなく、こども未来局が勝手に始めたとの主張である。しかし、予算の執行について市議会が承認していた事業を市職員が計画変更し、内容を変えて、話を進めてから市議会に事後報告するなど、本来あってはならないことである。「議会軽視」を通り越して、「議会無視」と言わざるを得ない。計画変更の検討を指示した人物は、市政の秩序を乱す重大な問題を犯したことになる。たとえ指示はしていなくても、これを止めなかったことにも問題がある。
また、市側は、「11年3月11日、東日本大震災の発生により、耐震対策を急ぎ、安全性を確保する必要が高まった」などと理由に上げているが、同保育園が1階に入る福岡市立中央児童会館の耐震性が問題視されだしたのは、それからさかのぼること約6年前の05年3月20日に発生した西方沖地震の後。当然ながら、現地建て替え計画にも耐震性の問題は検討されており、予算計上されていた事実を踏まえると、現・移転予定地への移転と早急な安全性の確保はイコールにならない。
もう1つの理由、待機児童についても、福岡市で急激に状況が変化したわけではなく、現地建て替え計画でも考慮されていただろう。いずれにしても、市議会承認を受け、明確に組織決定されていた事業を、突然ひっくり返すほどの理由になるとは思えない。
現地建て替えから単独移転へと計画変更を指示したのは高島市長であり、「現地の商業利用」がその理由であったと関係者の証言もあるが、市長以下、市側は頑としてこれを認めない。トップが責任を部下に押し付ける。まさに『トカゲのしっぽ切り』だ。最近、発覚した議会中の高級フィットネスクラブ利用など、高島市長の市議会、市政を軽視した問題行動からも、市政運営における傍若無人ぶりは、うかがい知れること。中央保育園移転問題の『闇』の解明をしなければ、やがて市全体に悪影響を与える病巣が放置され続けることにつながる。
▼関連動画
・福岡市議会平成24年度決算特別委員会(平成25年10月21日総会質疑その1-②)
▼関連リンク
・高島市長の議会軽視を問う~福岡市議会議員 吉武輝実氏
弊社((株)データ・マックス)では、11月7日(木)午後6時から、中央保育園の現・移転予定地への移転に反対する同保育園の保護者と法律面からサポートしている弁護士のご協力を得て、福岡市政の闇について考えるシンポジウムを開催します。会場は、弊社セミナー室(福岡市博多区中洲中島町2番3号福岡フジランドビル8階)参加費は無料です。同問題の現場でどのようなことが起きていたか、当事者の生の声を直接聞く、貴重な機会になっています。福岡市政の現状を憂える市民の方、今、自分が置かれている危機的状況についてお知りになりたい方は、ぜひ、ご参加ください。お申し込みは以下のメールフォームにて。
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