<急ピッチで2極化進む>
5兆円を超える産業に成長した通販市場のなかで、牽引するのが健康食品・サプリメント業界。昨今、大手をはじめとする新規参入が相次ぎ、競争は激化。有力企業が多い九州通販企業各社もその煽りを受け、業況の2極化が急ピッチで進んでおり、通販事業の厳しさが垣間見られる。その実情と裏側を見てみる。
今年8月、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が発表した2012年度の通信販売売上高調査による通販の市場規模は、前年比6.3%増の5兆4,100億円となった。同協会では、「他の国内産業が厳しい業況が続くなか、アマゾンジャパンなどの総合通販の大幅な増収や、長年、購入媒体トップだったカタログ通販に代わり、インターネットの購入率がトップとなり、スマートフォンやタブレット端末の普及により急成長を続けていること、またB to B通販企業の成長が要因」としている。その販売カテゴリーの上位に位置するのが健康食品および化粧品。こうした厳しい業況であるにも関わらず、特別な資格も必要とせず、低資本で業界に参入できる産業として、新規参入企業は後を絶たず、各素材ベースで市場をリードする先発企業の類似商品を低価格で販売するなどして急激に成長。とくに九州を拠点とする通販企業が牽引して、通販成長の礎を築いてきた。
しかし、ここ数年は大手をはじめ、新規参入企業の増加による競争の激化や法規制強化などで踊り場的状況にあり、最近ではいわゆる「送りつけ商法」の多発にともない、通販そのものの風評被害による失速も懸念されている。
そうした状況からか、九州の通販企業各社にも業績に明暗が出ている。
<販売コスト高で中小参入に高い壁>
ある通販コンサルタントによれば、「通販で急激に伸びた健康食品や化粧品のブランド寿命は約7年。そのサイクルで類似商品を販売する後発企業が台頭している様相にある。ここ10年間では、健康増進法や景品表示法、改正特商法など、販売規制に関わる法律がいくつもできたことで、ヒット商材が出にくい環境にもなった。そのため、後発の中小企業は先発企業が売れている商品を安く販売する傾向にある。その方が売れる確率が高いし、手っ取り早い」と分析、「売上を伸ばしている企業は効率性を見ながら、できるだけ多くの媒体に広告宣伝をしている。定期購入客を獲得するために新規獲得をし続けなければならない。対面販売ではないので広告宣伝をしなければ売上は減少するし、同業や後発企業にシェアを奪われることになる」という。さらにはM&Aも進んでいる――。
売上高ランキングをはじめ、10月28日発刊の「I・B(Information Bank)本誌1881号」に詳報する。
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