<本部工場建設と購入の強要>
「アクアクララでは増加していく需要に対応すべく、生産設備の増強をいたしました。今だけの需要を満たすためのものではなく、拡大し続ける業界に対応するための工場です」。
これは、アクアクララ本部に取材を行なった際に、工場新設の目的について問うた際の返答である。これがそもそもの発端であるとアクアデザインの高橋正義代表は言う。
「本部の工場が昨年完成し、その後、本部から商品を買うように告げられました。昨年7月のことです。翌8月から本部がつくったウォーターボトルを購入するように迫られました」。
高橋氏がまず指摘するのは、新工場の建設とともにウォーターボトルの購入を迫られた、というタイミングである。新工場を本部が熊谷に建設したということは事実である。それが昨年8月竣工であり、その直後に購入を迫られたというのも(竣工直前の7月より打診が始まっていた模様)、どうやら事実らしい。高橋氏によると、新工場は既存工場排除のためにつくられたのではないか、もしくは、新工場は需要に対して供給過多となり、既存工場を排除するような動きをせざるを得なくなったのではないか、と指摘しているのである。
熊谷につくられた本部の新工場は昨年8月に竣工した。毎時900本(12Lボトル換算)というアクアクララグループ最高の生産能力を有する工場で、敷地面積は約7,000m2。冒頭の本部の回答と同じく、宅配水業界の順調な伸長に対応することを目的として建設されたものだという。実際、たしかにミネラルウォーターの消費量は右肩上がりに伸びていっている。ただし、それはミネラルウォーターというカテゴリーのなかの話である。小分類である宅配水業が伸長しているか否か、また、アクアクララ自体が伸長しているか否かは別問題なのだ。もしも、新工場という供給手段を手に入れたのはいいが、需要との整合性がとれなかったとしたら、どうなのだろうか。
「この業界は、自社で工場を持っているフランチャイジーも数多くいます。グループ全体として契約件数が一定している、もしくは減少している状況のなかで、新規工場を建てても稼働がうまくいくとは思えないのです。私たちはそのあおりを受けてしまったのではないか、と感じております。新工場へは私たちも招かれて見学させていただいたことがあります。そのときも2本あるラインは1本しか稼働しておらず、配送のための自動車もあまり見受けられませんでした」
高橋氏はこう指摘する。それに対してアクアクララ本部はこう言い返す。
「工場の新設はこれから先を見越したものです。今の稼働率だけを考えてのものではありません。自社の工場の稼働率を高めるために、フランチャイジー様に購入を迫るなどということはありません」。
さて、事実はどちらにあるのか。あるいはいずれも事実なのか。現在、訴訟に発展している案件であるので、その判断はいずれ裁判所がその権威のもと判断を下すこととなるだろう。
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