<事業継続のためには>
アクアデザインは、なぜボトルの購入をかたくなに拒んだのか。それは単純に採算性の問題だと高橋氏は語った。自社で製造する場合の原価と本部から購入して販売する原価を照らして、自社で製造する方が利があると踏んだということなのだ。それだけではなく、購入して販売した場合には、経営の継続が危ぶまれるほどに利益が圧迫されるという試算までできたからだそうである。
購入を迫られた、しかし、購入しては企業の存続が危ぶまれるので断った。それだけならば話はシンプルだ。何ら問題になることはなさそうである。しかしながら、残念なことに話には続きがあるのである。
アクアクララ本部が、アクアデザインの製造設備の不備を指摘したのである。アクアデザインの設備ではアクアクララの品質を維持できないので、設備を止めて本部がつくったボトルを購入せよ、というロジックできたのである。前に述べた通り、アクアデザインの使っている設備は国内で最も古いタイプのプラントだ。しかし、もちろん定期的にメンテナンスを行なってきたし、本部からの指導にも従ってきた。それゆえ、2年前に一度、本部から指導を受けただけで、不良品を世に出すなどということは一度もなかった。それが、高橋氏によると、工場新設とボトル購入を断ったことを機に、製造設備が不十分との指摘をし始めたのだと言うのである。
このプラントではアクアクララの品質を守ることはできないので、ボトルを買え、と迫る。これまで正規品をつくり続けてきた実績も自負もある。このタイミングでその指摘はおかしいではないか、と高橋氏は本部に申し出ると、今度はプラントを改修して問題点を改善すれば製造を認める、と言ってきたという。
それならば対応できるかもしれないとアクアデザイン側は考え、具体的に話を進めることにした。しかし、アクアクララからの改修計画が伝えられると、高橋氏らアクアデザイン経営陣はがく然としたという。
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