市議会で重要案件が議論されている16日、福岡市政の最高責任者である高島宗一郎市長が、高級フィットネスクラブで運動していた問題が波紋を呼んでいる。決算特別委員会委員長から注意を受けた翌日(22日)、高島市長は、フェイスブックでプールにいる水着姿の写真を添えて反論。「議会の出席予定もなく公務もない日だったのに」などと、議会運営に関する理解不足を露呈する内容が含まれていた。
決算特別委員会では、分科会で福岡市の多岐に渡る内容を分けて審議しており、その最高責任者が市長にあることには変わらない。議論が紛糾した際、市長の説明が必要な場合もあり、状況によっては出席が求められる場合もある。出席予定がないのは、市長が同時に複数の分科会に出ることができないからだ。休みにしていいという状況ではない。議会運営上の基本的なことのはずだが、驚くべきことに、他の政令にも、このことが理解できていない市長がいるようである。
熊谷俊人千葉市長は21日、ツイッターで、「委員会に市長を呼ぶ特殊な場合、事前に協議しますから、当日急遽呼ばれることは基本ありません。市外に進出していたわけではないので、そのくらい許してよと」「市長は夜も土日も仕事があるので、ともすると何週間も連続して働き続けます」などと、高島市長を擁護した。また、この内容に対する読者からの「365日24時間働けと、執務時間中に働けというのとでは意味が違うでしょうに」という質問には、「公務がなく執務時間中ではありませんよ。土日も働く人と、週休二日が基本の人と混同してはいけません」と反論。繰り返すが、出席予定がないのは、分かれて同時に審議をやっているから。その内容は、市長が責任を負わなければならない市民の暮らしに関することである。
議会運営の問題とは別に、1万人の部下(市職員)を持つリーダーの資質としての問題もある。分科会では、市政における重要課題をめぐり、市議と市職員の真剣な論争が行なわれる。戦場で部下が戦っているときに、それを率いる者が『ひと休み』を許されるだろうか。
高島市長の問題行動を重く受け取り、朝刊で報じた地元紙・西日本新聞は、「16日午前、福岡市内の整形外科で10人が亡くなる火災について担当局幹部が同委員会分科会で報告を行なっていた時に」と強調した。また、高島市長は9日、全市職員1人1人に、外部団体に出向中の市職員の不祥事を受けて、「市民の信頼を回復するためにしっかりやりましょう」といった内容のメールを送信していたばかりだ。立て続けに重大な問題・事故が発生している福岡市の状況を考えると、今回の行為は、市長としての市議会(市民)への責任と、リーダーとしての部下(市職員)への責任の放棄としか言いようがない。
なお、「市長は夜も土日も仕事がある」という発言は、高島市長の擁護には不適切だ。NET-IBの取材で、高島市長は直前の3連休(とくに12日は午後7時からの公務のみ)で、議会を部下に任せて平日に休みをとらなければならないほどのハードスケジュールではなかったことが判明(関連記事参照)している。「人がなんと思おうが、平日に休みをとるのは自分の勝手」では、とても市民の血税から給料をいただく「公人」は務まらない。任期中はたとえどこにいようと市長。同問題に関して、前回の記事で引用された故事「李下に冠を正さず」の意味を学ぶべきである。
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