2週間にわたるロシアとウクライナ、ベラルーシ3カ国訪問から帰国されたばかりの参議院議員(元総務大臣政務官、外務大臣政務官)・国際政治経済学者の浜田和幸氏に、お話をうかがった。常日頃から「議員外交」の重要性を唱える浜田議員らしく、旧ソ連邦、中国、サウジアラビア等と、その話は多岐にわたった。浜田議員のロシア訪問は、旧ソ連邦時代を含めると、今回で33回目になる。
<尋常でない「アベノミクス」への期待>
――3カ国ご訪問からはいつご帰国されたのですか。
浜田和幸参議院議員(以下、浜田議員) 10月上旬に帰国したばかりです。今回は、ロシア科学アカデミーの招聘を受けて、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの3カ国を訪問しました。
ロシアでは「アベノミクス」に対する期待が尋常でないと感じました。私は、今回、ロシア外務省が管轄しているモスクワとキエフの外交アカデミーで、2度講演をしています。演題は「アベノミクスと今後の日ロ関係」で、講演の模様はインターネットを通じ、生中継で、ロシア国内に流され、大きな反響を呼びました。
講演後、質問が「アベノミクス(3本の矢)」に「アベノオリンピック」を加えた4本の矢に集中しました。彼らの高い関心は、この4本の矢で、日本が20年続いたデフレを本当に脱却することができるのか。さらに、その日本の脱却・経済成長過程のなかで、ロシアも恩恵を受けることができるのかどうかという点です。
<経済の安定が大統領の支持に直結する>
ロシアのプーチン大統領の任期は、あと残り6年あります。安倍政権をあと3年と考えると、日ロの安定は3年間保証されていることになります。
正直、今まで日本の政権は1年ごとにくるくる変わってしまうので、ロシアとしても、真剣にというか、正面から取り組むことができなかったわけです。今回の参院選の結果、衆参のネジレ現象が解消されたことを受けて、本格的に日本と関係を構築、強化したいという気持ちを感じました。
ロシアの国内事情もあります。ロシアは石油他地下資源が豊富にあり、それがこれまで国内経済の発展を支えてきました。しかし、世界各国との交流が深まると同時に、外から、人、モノ、情報が入ってきて、それでプーチン政権に対する新しい見方、批判も起こっています。
このような状況のなかで、国民の気持ちを、一番引き留めることができるのは、なんと言っても経済の安定です。事実、富裕層が増えてきています。赤の広場の前に並んでいるデパートには欧米ブランドショップが軒を連ね、地元富裕層が買い物を楽しんでいます。経済が良くなることとプーチン大統領への支持が直結しているのです。
経済の発展は、自動車台数の増加にもつながっています。シェレメーチエヴォ国際空港から、高速道路でモスクワ市内に入るのに、4時間もかかるようになっています。交通渋滞は大きな経済損失をもたらしますので、今、もう1本高速道路をつくっている最中です。
| (2) ≫
※記事へのご意見はこちら