<4,000万円の改修工事>
「とにかく問題点を解決するためには、4,000万円の改修工事が必要だ、と言うのです。そもそも、このプラントは約2,000万円で建設したものです。これ以後のプラントも、およそ同じくらいのコストで建設されているはずです。それにもかかわらず、4,000万円投じろというのは、新規で土地も探してプラントをつくり直せというのということと同じに思えました。当然、私たち中小企業に、そのような急な投資ができようはずもありません。どう対応したらよいのか、途方に暮れました」。
高橋氏は当時をこのように振り返った。提示されている選択肢は2つ。1つは本部からボトルの供給を受けること。つまりプラントを止めるということだ。もう1つの選択肢は、4,000万円を投じてプラントをつくり直すこと。いずれもハードルの高いことである。前者の場合は利益が生まれなくなる。後者の場合は新たな負債を背負うことになる。どちらに転んでも痛みをともなうことになる。
また、これも大きな問題なのだが、この4,000万円の改修工事、実はその提示された計画によると、既存工場の敷地に収まらない設備が予定されているのだという。つまり、実現不可能なのである。また、金額的にも大きすぎるため、高橋氏らアクアデザイン側は他社に相見積もりを頼んだという。すると、同程度の内容の改造で半値以下を提示されたのだという。しかし、本部は他社による工事を認めずに、しかも4,000万円以外の選択肢を与えずに決断を迫ってきたのだと言う。
「無理を言われていると感じました」(高橋氏)。
アクアクララ本部へこの改修提案について問い合わせたところ、その返答は次の通りだった。
「4,000万円でなくてはいけないという認識ではありません。改修すべき場所を積み上げていった結果、4,000万円という数字になったと認識しています。4,000万円をかけなくてはいけない、というのではなく、たとえば改修計画を相談して少しずつ問題解決をする、という方法もあったのだろうと考えております」。
4,000万円でなくてはいけない、他社の工事ではいけないと迫られたというアクアデザインと、そうではなく、相談し合ってやっていくことも可能だったという本部側。内容に食い違いがある。いずれが真実か、あるいは事実の認識の差なのか、それはわからないが、はっきりしていることは、アクアデザインは少しでも本部の意向に従うべく改修工事を行なったということである。しかし、その努力もむなしく、アクアデザインはフランチャイジーの地位から外れることとなったのだ。
※記事へのご意見はこちら