<日本の「水資源技術」に大きな期待>
――先生のご専門である、「水資源技術」分野についても進展があると聞いています。
浜田議員 世界の淡水の20%はロシアにあり、その多くは、シベリアに偏っており、穀倉地帯から欧州圏への輸出には不便です。浄化技術や健康分野の研究、水の運搬手段、護岸、水路技術等で世界有数の日本と関係を深めたい気持ちがロシアにはあります。11月には、モスクワで国際的な「水戦略会議」が開かれます。
私が書いた「水資源」に関する本を読み、彼らには、水に関する技術は日本が世界で1番という認識があります。私は、旧ソ連時代からするとロシア訪問は33回目であり、ソビエト科学アカデミー、世界経済国際関研究所、アメリカ・カナダ研究所等を通じて、学者同士の交流を積み重ねてきました。前首相のプリマコフ氏、現外務大臣のラブロフ氏など友人や知己も多いのです。さまざまなご相談をいただくことがあります。
<世論と政府の橋渡しをする重要な役割>
――先生のお話をお聞きしていると「議員外交」の大切さがとてもよくわかります。
浜田議員 政府が一方的に政策を遂行するのではなく、多様化する国際社会のなかでは、政治家が世論と政府との橋渡しをする重要な役割を担うことが必要であると考えております。
私は尖閣問題が起こったとき、外務大臣政務官という政府の要職にありました。
しかし一方で、私は当時の胡錦濤主席を含めて、中国要人に知己も多く、「中国は面子を重んじる国」であることを肌で感じていました。そのような場合は、しかるべき議員等がいわば忍者外交のかたちでより柔軟な立場で動く必要があったわけです。進言はしていたのですが、結果的にそのような動きを演出できなかったことを残念に思っています。
世界が日本に期待することが多くなればなるほど、「議員外交」は不可欠になってくると思います。
この10月、沖縄で「日中友好映画祭」が開催されました。「日中平和友好35周年」(2013年)、「日中友好40周年」(2012年)では、尖閣問題の影響で正式記念行事は行なわれていません。しかし、自治体同士、民間同士では、日中友好の改善努力をしていく必要があり、私もお手伝いいたしました。
沖縄では尖閣問題以降、それまでトップであった中国人観光客が激減しました。そこで、中国映画の舞台を沖縄に誘致したい希望があります。しかし、私が、中国の映画監督など関係者に話を聞いてみると、アメリカを筆頭に、世界中で中国映画の誘致の攻勢があり、それにともなうインセンティブが半端ではないことに驚きました。
サウジアラビアも日本に大きな期待をしています。サウジアラビアでは国民が結婚すると土地をもらうことができます。そこで、家を建てることになるのですが、太陽光が充分にあるため、スマートハウス(太陽光発電)の需要が今、約100万戸あります。
日本の原子力発電技術にも注目しています。サウジアラビアでは、自国で産出される石油は海外へ売り、自国のエネルギーは原子力発電でまかなうという長期計画があります。アラブ首長国連邦やトルコも日本の原子力発電技術に注目、期待していることはよく知られている通りです。
私は、国際政治経済学者、"技術と社会の未来予測"の専門家としての経験を活かし、世論と政府の橋渡しのできる政治家として、今後も「議員外交」を推進していきたいと思っております。
先生のお話で、「議員外交」の重要性を再認識することができました。本日はありがとうございました。
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