「さよなら原発!九州沖縄集会」主催者らの福岡県庁での記者会見で、代表呼びかけ人の1人である吉岡斉・九州大副学長の発言(要旨)は以下のとおり。
私は、運動体の集会には長いこと出たことがないが、脱原発の集会を断る理由がないので代表呼びかけ人の一人を引き受けた。私の基本的立場は、「脱原発をしなければいけない。ひとたび事故が起きれば、被害は計り知れない。上限を切ることができない甚大な被害を及ぼす。そのような危険な技術は卒業しなければいけない」というものだ。福島の事故は収束していないし、汚染水も深刻だ。
再稼働にこだわるものではないというのが、私の立場で、条件が整えば再稼働してもいい。しかし、条件が整っていないので、今の段階では駄目であって、将来的にも駄目であろう。
その理由は、第1に、事故原因がわかっていない。第2に、現実的な防災計画が立てられていない。現実的というのは、半径数十キロもの範囲から、人を一気に避難する計画が必要だ。第3は、従来は立地審査指針、立地評価を行なっていたが、(設備変更時の適用を)なくしてしまった。福島級の原発事故が起きれば、どんな基準でもオーバーするからだ。第4に、規制機関が、中身をともなっていない。形式的な審査になっている。地下水問題でも(規制機関は)逃げているし、エネルギー庁が仕切っている。第5に、脱原発を国民の多数が意思表示したわけで、それに対応して、原子力ゼロのプログラムを立ててください、再稼働したいなら(原発ゼロをめざす)計画を立ててくださいと言ってきたが、政府は陣取り合戦だと思っている。再稼働を1基も譲らず、全基再稼働の姿勢を崩していない。東電をつぶさないのも、原発をやっている会社をつぶさないというものだ。
この5つが解消されない限り、再稼働はあり得ない。
今年4月に原子力市民員会を結成し、10月には原子力ゼロをめざして中間報告を発表した。来年3月末をめどに「脱原子力政策大綱」をまとめたい。座長が舩橋晴俊さん(法政大教授)で、私が座長代理を務めている。政府の「脱原子力政策大綱」になるんだという意気込みですすめている。現実的な政策が"売り"で、現実的な原発の卒業の仕方として、原子力ゼロにしていく責任ある政策を提起していく。原子力政策の1番の中心は、放射性廃棄物、核のゴミ問題、後始末になる。そこに正面から提起していく。脱原発をめざす政権ができた場合に、そのまま全面的に取り入れられるし、脱原発の政権ができなくても現実的に原発のリスクを減らしていくために取り入れられるアイデアを含んでいる。現在の政府は、合理的で柔軟な政策を提示できない。中間報告要約版は、近いうちに英語版、中国語版、韓国語版を作成し、世界へ公表したい。日本政府に対するメッセージであり、国際社会、国民に発するメッセージである。
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