165億円もの血税を投じ、久留米市六ツ門地区の久留米井筒屋跡、六角堂広場跡に移転する久留米市民会館。「久留米市総合都市プラザ(仮称)」として、地上6階、地下1階建で延床面積約3万600m2の複合施設となり、コンサート、学会、展示会などの各種大型イベントが可能となるコンベンション機能を兼ね備える。一部の商店街関係者には大きな期待が寄せられているが、建設が進むなかで反対する声も依然として多い。はたして、市民会館の移転が久留米市民にとってプラスとなるのか、それともマイナスになるのか――。
<「都市プラザは不要不急」市民団体が訴え>
久留米市民会館は1969年に建設され、築44年が経過した建物だ。久留米市出身の有名な建築家の故・菊竹清訓氏が建築デザインを施したことで知られる。現在の久留米市役所横にあるこの建物は音響施設などの機能力のほかに、1,500名という大ホールの収容力に課題があったといわれている。
2005年2月に久留米市に三井郡北野町、三井郡三潴町・城島町、浮羽郡田主丸町の4町が編入し、人口30万人の新・久留米市が誕生。合併後、10年間の使用期限とされる合併特例債の使用期限が迫るなか、11年2月に急きょ、合併特例債を利用した市民会館移転を楢原利則久留米市長が表明。移転先を巡り反対運動も起きたほか、移転に反対する市民団体が市議会に対して白紙撤回を求める請願署名を行なった。しかし、市議会は市民の請願を認めなかった。165億円もの血税を投じて作ることに加え、ほんの10年前、中心市街地の活性化を目的として、30億円もの血税を投じて作った六角堂広場を取り壊してまで作るべきなのか――。
「血税を投じて箱物を作ることは市民全体の損害」と断じ、今年5月に取り壊される前の六角堂広場前で抗議行動を行なった「心ゆたかな久留米のまちづくりを考える会」の事務局長である、くるめ市民の法律事務所の下東信三弁護士は「総合都市プラザは不要不急で資源のムダ。孫子の借金に繋がり、市民にとって良いことは1つもない」と話す。
下東弁護士は、現在も建設反対運動を行なっており、「都市プラザ計画は今でも白紙撤回を求めたい。市民の多くの理解、賛同を得られないなか、強引に久留米市民会館の破棄と六角堂広場の解体、久留米都市総合プラザ(仮称)の計画を推し進めている。多くの自治体では高額な予算を使って市民会館を新しく建て替えることなく、低額な改築によってより使いやすい市民会館を作ってきた。久留米の市民会館は増改築によって今後、数十年間快適に使える。隣接地の活用によって市役所と共に駐車スペースの問題も解消できる。築10年足らずの六角堂広場を取り壊し、総合都市プラザを建てることで駐車場問題および都心の交通渋滞など新たに都心部に混乱をもたらし、中心市街地の活性化に繋がらない。逆に久留米市の衰退をもたらすのでは、と危惧している。市長は市民が本当に望むものを作りださないし、市議会は市政に対するチェック機能をほとんど果たしていない」と、反対する理由を語る。
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