<原発に関する公論を政策に反映を>
原子力政策に関して、原発輸出の推進など国民の意見(公論)と違ったところで政策が進められようとしている。エネルギー政策に関して、多くの国民の意見をくみ取って、今後の政治にきっちりと反映させようとする姿勢は、今の政府に足りないのではないか。原発事故の被災者を支援する「原発事故子ども被災者支援法」でも、被災者から集まった約4,900件に上るパブリックコメントが軽視されるなど、被災者の声をしっかりと反映したものになっていない。
公論を政策に反映させようと、舩橋晴俊法政大学教授らにより結成された原子力市民委員会では、原発ゼロ社会を目指すためのエネルギー政策に関する「政策大綱」を2014年3月末までに作成する方針。10月7日には中間報告書を発表し、同22日、東京都内で市民との意見交換会を開いた。
<あってはならない被害の過小評価>
中間報告のなかには、福島原発事故の全容と、物財や経済の復興だけでなく被災者の一人ひとりが人間らしい暮らしを取り戻し、心から復興するという方針、脱原発を実現するための具体的なプロセス、ゼロ社会を実現するための法整備、組織のあり方などが盛り込まれている。
委員を務める上智大学神学部の島薗進教授は、「被害の過小評価があちこちで行なわれ、対応の遅さにつながっている。物財の復興、産業の復興が重視され、一人ひとりの被災者の人間としての復興が視野の外に置かれている」と述べ、福島原発事故での被害の公平、公正な再評価を行ない、被災者一人ひとりに向き合うべきだと指摘した。
福島大学の荒木田岳行政政策学類准教授は、「誰にでも放射能汚染からの被ばくを避ける権利があり、現地に住む人はもちろん、避難をしている人、これから避難をしたい人にも十分な支援がなされなくてはならない」と、人権問題として福島の問題に向き合うべきと訴えた。
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