<顧客を引きはがしにかかる>
ついに、アクアクララ本部とアクアデザインとの争いにある意味での終止符が打たれることとなってしまった。9月上旬、アクアクララ本部よりアクアデザインにフランチャイズ契約の解除通告が送付される。アクアクララ本部側の主張によると、顧客情報の改ざんなどがなされたため、とのことである。ちなみに、顧客情報の改ざんとは、アクアデザイン側が顧客のデータに対し、実際には解約されていないものを解約されたように見せかけるなどしたという内容だ。そのような手の込んだことをする理由がよくわからないが、それを理由にアクアクララとのフランチャイズ契約を解除する旨が告げられた。突然のことでもあり、また、一方的に言いつけられたことでもあったため、アクアデザインは解除通知の書面が届いてすぐに解除無効の意思をアクアクララ側に示した。ところがその意思表示は受け入れられることなく、事実上の解除がなされてしまった。
アクアクララ側はアクアクララグループのフランチャイジーなどを集めてアクアデザインの顧客に対して一斉に営業活動を展開するように指示を出したとも言われている。アクアデザインの顧客たちに代理店変更を知らせるビラをまき、委任状にサインをさせてアクアデザイン所有のサーバーやボトルなどをアクアクララ本部に引き取り、代わりに本部などのサーバーとボトルをおいていくのだという。顧客サイドとしては、同じアクアクララから通知が来て、代理店が代わったと言われれば「そうか」と思いそのまま変更手続きを踏んでしまう可能性が高い。しかし、注意せねばならないのが、本件はフランチャイズ契約であって代理店契約ではない、ということだ。
アクアデザインの顧客はアクアクララ本部の顧客ではなく、アクアデザインの顧客である、とアクアデザインの高橋代表は言う。また、サーバーなども当然本部所有ではなくアクアデザインのものだという。それを勝手に引き取って行ったのだと言うのである。そして、アクアデザインのもとには本部から、サーバーひとついくら、ボトル1本いくらで買い取ります、という書状が届いたという。こういった手法には少し強引な印象を受ける。また、顧客がサインした委任状はアクアデザインのもとにファックスで送られてきているのだという。顧客のなかには、委任状をとってサーバーを引き取っていく行動に疑問を感じ、消費者生活センターに問い合わせるケースもあったということが取材を通じてわかった。
現在、アクアクララとアクアデザインは、各々弁護士を立てて交渉を開始している。ちなみに、品質面を言われていたアクアデザインのプラントであるが、筆者が取材に訪れた際にはすべてを見学させていただくことができた。ただし、製造現場への立ち入りは衛生上の理由からさせていただけなかったが、アクリル板ごしに磨き上げられたステンレスの製造設備が滑らかに稼働しているのがわかった。製造工程もすべてオープンにできるということは、それだけ自信があるということではなかろうか。そのプラントに問題があるとはとても思えないというのが直感的な感想だった。しかしながら、それは主観であり、アクアクララから見れば不十分なのかもしれないが。同プラントはプラントをつくったメーカーからも問題なしのお墨付きが出ているのだという。
アクアデザインは今後、アクアクララと決別し、独自ブランドの展開を目指すこととなった。ブランドの信用を勝ち得るには時間がかかるだろうし、受け入れられる保証もない。これまでのような看板を頼りにした営業活動はできなくなり、道は厳しさを増すと見るのが正しかろう。独自の工夫を考えなくては業界の荒波を超えることは難しかろう。このような経営判断をせざるを得なかった経営陣の心中は察するに余りある。
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