太陽光発電市場は、新規設置増加しているが、供給が過剰となり価格下落も進行している。厳しい業界ではあるが、原発に代わるエネルギーとして、太陽光を求める声も依然として多い。そこに新しい付加価値をつけて提供してみてはどうか―常に新しい事業展開を求めて前進するファブスコ（株）（FaBSCo）。代表取締役社長の江藤邦彦氏は、今の時代に必要かつ大切なものは何かを念頭にアンテナを張り、情報を狩る。

＜兼ねてよりの夢、病院での仕事に着手＞
　――まず、現在の御社の状況について、お聞かせください。

　江藤邦彦社長（以下、江藤）　今冬から、以前よりの念願であった医療施設での仕事が行なえるようになりました。福岡県太宰府市に建て替え予定の病院について、太陽光発電とLEDに関する電源や配電関係を、すべて弊社で請け負わせていただくことになったのです。現在、先方に商品の提案を行なっているところです。

　――福岡市内のとある病院では、中国製のLEDを入れて２年で使えなくなったそうです。やはり国産が良いという声も出ていますが、その点、商品の提案を行なう際は意識されますか。

　江藤　太陽光発電もLEDも、投資商品ですから、本当に投資した以上の利益を得ることが保証されている品質なのかということは、とても大切ですね。ただ弊社は、"国産だから良い"というより、"この会社だからこそ安心してお勧めできる"という点を大切にしています。太陽光発電など、25年間保証がついていたとしても、そこまで会社が存続しているかどうか、保証ありません。中国では会社同士の合併もよく見かけました。

　――中国では太陽光発電の再編が進み、企業数も減少しましたね。

　江藤　ええ、結局は与信の問題になると思います。そうなると、紹介するものの身からすれば、やはり安定した大手家電メーカーをお勧めするということになります。
　先ほどのLEDの件ですが、普通LEDは1年保証ですから、2年で使えなくなったとしても、メーカーは責任を負わないでしょう。そうなると、販売したところが後始末をしなければなりません。このようなリスクを避けるためにも、ご紹介する商品の品質にはこだわります。

　――商品の品質以外に、どのような点にこだわりたいとお考えですか。

　江藤　今回の事業は、弊社で本当にやりたいと考えていた「医療施設、病院関係などの事業所に対するサービスの提供と販売」に当たるものですから、弊社で何かにこだわるというよりは、まずは"この事業をご紹介してくださったお客さまとともに、医療業界のノウハウを学ばせていただく"という気持ちで取り組みたいと考えています。実は設計の段階で、「病院の設計は特殊だから」という理由で、設計事務所が二転三転しました。そこまで特殊なのか、どのように特殊なのか、学んでいく絶好のチャンスです。１案件経験したら、そこでの学びが次の営業にもつながっていくことでしょう。

　――特化した強みが得られそうですね。

　江藤　ええ、今年に入って、関連会社の関係で関東圏の市場を回る機会が増えたのですが、おかげさまで、九州の市場がよく見えるようになりました。そして気づいたのは、九州圏では、「メディカルサービス（MS）法人」への取り組みが、意外に広まってないのだな、ということです。医療法人は、営利を目的とすることができませんが、2007年4月以降に新しい医療法が施行されて、ますます非営利性に対する考え方が強化されました。そこでMS法人という、医療法人とは別の法人を立てて利益を得るのが、関東圏では普通になっています。しかし九州では、これが確立されていないようなので、情報の提供なども行ないながら、医療事業者の方に対してのサービスができるようにしていきたいと考えています。

　――一見、環境ビジネスとは関係がなさそうな分野ですが、そのあたりにも対応していこうとするのが、御社が「総合エネルギーインテグレータ」と称する所以なのでしょうね。

　江藤　どのような小さな事業にも注意深く問題点を洗い出し、ふとした発見や閃きを逃さず、お客さまにご満足していただけるような提案を心がけています。

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＜COMPANY INFORMATION＞
所在地：福岡市博多区博多駅前2-12-15
資本金：2,000万円
ＴＥＬ：092-432-2323
ＵＲＬ：http://fabsco.co.jp/

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