福岡市に本部を置き、カンボジアでの地雷撤去活動支援や被害者救済などを行なっている(財)カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)の活動が、今年で15周年を迎えた。11月4日、福岡市内でCMC15周年記念講演、及び祝賀会が開催された。
記念講演では、大谷賢二理事長から「CMC15年間のあゆみ」と題し、これまでの活動報告があった。その中で大谷氏は「たくさんの方々の支援のおかげで、活動を継続できた。15年の活動を通じて、地雷被害の件数は13分の1まで減少した。地雷をすべてなくすのは非常に困難だが、地雷被害はゼロにできる」と語り、これまでの支援へ感謝を述べ、今後の継続的な協力を訴えた。
カンボジア国内で地雷撤去団体のNGO「CSHD」を設立したアキラ氏が日本語でスピーチを行なった。わずか10歳で自ら銃を持ち、カンボジアの内戦を生き抜いた半生を語った。その中で「一時ベトナム軍に捕まり、その後ベトナム兵として、仲間だったポルポト軍と戦った。戦場で肉親に出会ったこともあった」と驚きのエピソードを明かした。想像を超えた、その生々しい体験談に場内の空気は張り詰めていた。アキラ氏は内戦後、心ならずも自身の埋めた地雷で人が傷ついていることを知り、現在は地雷撤去活動に人生を捧げている。
ミス地雷被害者コンテストで優勝したドス・ソピアップ氏も登壇した。「将来は独立して、障害者のためだけではなく、国の発展のために貢献したい」と力強く語った。ソピアップ氏は5歳の時に地雷で片足を失い、その後いわれのない差別に苦しんだ。2009年、ミス地雷に選ばれ、賞金で大学へ進学。会計学を勉強中だ。現在、同じく地雷被害で障害を持つ人たちを、ラジオ放送を通して励まし続けている。
記念講演の行なわれた会場には、CMCの活動に賛同する300名以上の参加者が集まった。会場の外では、大谷氏やアキラ氏の書籍、ソピアップ氏の作ったマフラーやポーチなどが販売され、多くの来場者が購入していた。売上の一部は地雷撤去などCMCの活動費用に充てられる。父親に連れられて来場した小学生が自らのお小遣いで雑貨を購入する姿も見られた。その父親である男性は「普段の生活では聞くことのできない話を聞いて、子ども心に思うものがあったのでしょう。いい機会になりました」と話した。
その後、会場を移して行なわれた祝賀会では、福岡市長高島宗一郎氏をはじめ、来賓が祝辞を述べた。15年という長期にわたるCMCの活動、大谷氏への賛辞があふれていた。和太鼓あり、カンボジアの踊りあり、会場は大いに盛り上がっていた。
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・(財)カンボジア地雷撤去キャンペーン
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