10月25日、佐賀県武雄市など7自治体・関連団体からなる「日本自治体等連合」がシンガポール事務所を開設した。シンガポールを拠点にASEANへ各自治体の特産品を売り込むほか、観光客を呼び込むことが狙い。事務所費用などを各自治体で分担することにより、小規模自治体の進出が可能となった。
これまでも県単位での取り組みはあったが、規模が大きくなることで、焦点がぼやけてしまったり、公平性を保つために、各自治体が自由に特産品をアピールできないこともあった。はたして、今回の7自治体の挑戦はどのような結果につながるのか。現地シンガポールで行なわれた開所式や展示会に参加した各自治体の様子を報告する。
<新潟県燕三条地場産業振興センター>
同センター理事長で、新潟県三条市長の國定勇人氏は開所式で「燕三条地域は金属加工産業をはじめとするモノづくりの街です。企業を守り、住民の笑顔を守っていくために必要なのは、海外への企業進出を支援するのではなく、海外の市場を開拓していくことだと考えております。そのためにのどから手が出る程欲しかったのが、海外拠点でした」と語った。
燕三条は既に国内、欧米には販路があったが、将来を見据えると成長著しい東南アジアに販路を拡大しなければと考えていた。単独進出はコスト面で折り合いが付かなかったが、共同出資することで経費が少なく済むことに大きなメリットを感じたという。
同センターから出展されたのは燕三条を代表する金属加工品の数々。フォークやナイフなど洋食器をはじめ、包丁、ナイフなどの調理器具に加え、爪切りなども並んだ。展示会に参加した同センター産業振興部の大坂鉄平氏は「食品に比べ、このような製品の展示会は数少ない。そういう意味でも今回の進出には価値がある」と話した。
訪れた現地のバイヤーからは「シンガポールではほとんどの人が日本製と中国製の違いがわかる」と日本の調理器具のレベルを高く評価していた。また調理器具を飲食店に卸している現地バイヤーからは「シンガポールにあるのはどれもよく似た商品ばかり。シンガポールにないものを探していた」と包丁を手に取り、興味深そうに眺めていた。
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