ネット通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが、10月31日から、スマートフォン専用アプリ「WEAR」による新サービスを開始する。
「WEAR」は同サイトに加盟するブランドが実店舗で展開する商品のバーコードを、買い物客がスマートフォンの写真機能を使ってスキャニングすれば、ゾゾタウンのサイトに飛べ、そのまま買い物できるアプリケーションだ。
スタートトゥデイが「WEAR」を発表するいなや、ユナイテッドアローズやアーバンリサーチなど若者を主な顧客層にする人気セレクトショップは参加を表明、すでにサービスを受けるブランドは全部で200にも及ぶと言われている。
一方で、それらのブランドをテナントとしてリーシングしている百貨店やショッピングセンターは、実店舗の「ショールーム」化、顧客の喪失、はては売上げが減少することを恐れ、テナントに対して禁止を通達したところもある。
<顧客を創造するオムニチャンネルの時代>
現在ではテレビはもちろん、スマートフォンやタブレットPC、SNS(ソーシャルネットワークワービス)など、アパレル商品の販売チャンネルは無数に広がっており、そこで体験して自分に最も適したものを買い物するのは、お客の自由、ショッピングの楽しさでもある。オーバーストアとモノ余りの時代において、小売業者には実店舗やWeb、チラシやカタログ、SNS、モバイルなどいろんな販路を統合・再構築する「オムニチャンネル・リテイリング」は不可避なのだ。
では、新サービスの中身をもう少し詳しく見てみよう。まず、WEARを利用してスマートフォンで、アパレル商品タグのバーコードを読み込めば、詳細な情報はもちろん、その商品を使ったコーディネート画像などが表示される。
お客にとってはその場で買う必要がなく、自宅に戻ってそれらをもとに商品をじっくり検討することができる。また、ブランド側の商品企画やバイヤー、店舗スタッフ、さらに消費者がサイトに投稿するいろんな写真からも商品を検索、自分が購入した手持ちの服種を管理できる機能も付け加えられている。
これまでのEコマースは、お客が検索エンジンに商品名や型番を入力して、それを取り扱う小売りサイトに飛び、後はお客が利便性や価格などを材料に購入するか否かだった。サイト運営側も自社のサイトが検索上位に来るようにSEO対策を施したり、お客の購買機会を作るポップアップ広告を出したりと、いろんな方策を打ってきた。
しかし、こうした手法もすでに各社が行っており、小売業として顧客を創造するには、顧客が買い物に求める様々な条件や機能を充実させることが不可欠になっている。
その意味で「WEAR」は実店舗をもつ小売業に対し、自店の接客や顧客管理を省みる機会を与えたと言えるだろう。つまり、小売業にとって販売チャンネルは別個のものではなく、統合・再構築してはじめて顧客を創造できるということである。
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