「対戦相手すら分からない状態でした。」放送打ち切りが決定したバラエティ番組「ほこ×たて」に出演した共和技研(福岡県大野城市)の田中慎一郎氏は振り返る。
同社のピッチングマシン「TOPGUN」は時速360kmのボールを繰り出しカシオの最強連写デジカメに勝利した。中小企業が世界的メーカーを破ったことで大きな反響を呼んだ。田中氏は「カシオさんも対戦相手を知らされていなかったようです」と真剣勝負だったことを力説する。
やらせが発覚したことについて「いろいろな要素があるのでしょうが」と前置きした上で、「許されることではない」と肩を落とす。「弊社の対戦担当者はきちんとした方だった。(やらせは)特定の制作チームがやっていたことは聞いています」。
放送終了については「憤慨というよりも怒りと失望が混じった感じ。一言で表現すると遺憾になるのでしょうか。ああいう形で終わるのは非常に残念です」と話す。
同番組には茂木敏充経済産業大臣が出演したこともある。中小企業の頑張りに焦点を当てる構成は、政府からも高く評価されていた。田中氏が指摘するように3社の制作会社のうちやらせをしていたのは1社のみとされるが、番組は最悪の形で終えんを迎えることとなった。
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