<大手デベは撮影禁止ルールで対抗>
ゾソタウンと同じブランドをテナントに持つデベロッパーや百貨店は、実店舗がショールーム化する恐れがあると、猛反発している。
今年7月、スタートトゥデイがブランドテナント各社に新サービスへの参加を要請すると、JR東日本系のルミネをはじめ各社は、テナントに対して参加を「禁止」する旨を通達した。
デベロッパーにとっては、テナントの売上げに応じた歩率家賃が収入になるわけだから、実店舗が見るだけという状態になってしまうのでは死活問題となる。ただ、なかにはそうした本音を語らず、「商業施設内は撮影禁止だから、当然スマートフォンによる撮影もできない」という対処法で反論するところもある。
テナントとの確執好まないのはわかるが、それは商品を買い取るわけでも、在庫を抱えるわけでもない不動産業者の苦肉の策と言えなくもない。 百貨店は今のところ、目立ったコメントを出していない。仮に出したにしても「委託販売」や「消化仕入れ」を行う以上、抜本的な対策は取れないというのが、正直なところではないだろうか。
スタートトゥデイはデベロッパーに配慮して、当面は路面店でサービスを提供すると表明した。ブランド側もクロスカンパニーのようにビルインについては、デベロッパーの判断に任せるというところもある。
でも、売上げをどう上げるかはブランド側の自由なのだから、ブランド各社がサービスを受け入れるのは時間の問題だろう。
家電量販店ではWEAR以前の問題として、価格優位に立つアマゾンへの対抗するために店頭で割引を実施したり、買い物客がバーコードを読み取れないように工夫を凝らしたりと、ショールーミング化の阻止に躍起だ。
<ショールーミングは自然な流れか?>
ただ、これだけ消費者の間にスマートフォンが普及している以上、購入する商品についてカメラで撮ったり、ブランド側のスタッフや友人からアドバイスを受けるのは、もはやお客にとって当たり前の購買行動である。
施設内の撮影の禁止は、もともと同業他社のリサーチや情報漏洩に対する「睨み」であって、顧客を想定したものではない。仮にこのルールをお客に適用するにしても、来店客のほとんどが撮影行動に出た場合に、警備員を配置しない限り、阻止は不可能だろう。
また、テナント側に対し契約を楯に、「お客の撮影を止めないのは違反」を持ち出したところで、それはテナントとの紳士協定の範囲を超えないと思われる。現にユナイテッドアローズは、実店舗とネット通販とのシンクロさせており、「(WEARの登場は)全体の売上げを押し上げることになる」と、表明している。
当面の対策は、「カード会員向けのポイント割引の拡大」くらいしかないだろう。でも、ゾゾタウンも何らかの還元策は想定しているだろうから、百貨店やデベロッパーは消耗戦覚悟で戦うことができるかどうかである。
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