ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

社会

「知る権利」を既得権化する福岡市政記者クラブ(2)
社会
2013年11月 7日 07:00

 記者会見での質問権を求める外部メディアの要望に対し、回答を半年以上放置している福岡市の市政記者クラブ(以下、記者クラブ)。そこには、彼らの既得権である情報源が、そもそも公共の物であることさえ忘れた傲慢さがうかがえる。そもそも記者クラブとは何なのか。彼らに『特権』を与えているのは誰なのか。今回は、記者クラブのあらましについて紹介する。

<公共の場を間借りする任意組織>
fukuoka_2.jpg 福岡市役所の10階に市政記者室がある。記者クラブ加盟の記者たちがそこで仕事をしているが、賃料および光熱費は払われていない。競争相手であるはずの各メディアの市政担当記者が机を並べて、仕事をしている様子は異様とも言えるだろう。
 次に、記者クラブが主催する記者会見(市長定例会見など)は、隣接する記者会見室で行なわれるが、当然ながら、こちらも福岡市が管理。つまり、市民の所有物である市役所庁舎の一部を、民間企業が利用していることになる。
 そこで得られた情報が、新聞の記事となり、あるいはテレビのニュース映像になり、販売収入や広告収入にもつながっていく。福岡市は、広報に関わる「行政の目的内使用」と説明するが、公共の場の無償提供は『特定の民間企業への便宜供与』と言い替えることもできる。

 そもそも記者クラブとは、法人でも法的に認められた団体でもない任意組織、私的な集まりに過ぎない。一般社団法人 日本新聞協会の編集委員会は、『記者クラブ』について、以下のような見解を出している。「日本の報道界は、情報開示に消極的な公的機関に対して、記者クラブという形で結集して公開を迫ってきた歴史があります。記者クラブは、言論・報道の自由を求め日本の報道界が一世紀以上かけて培ってきた組織・制度なのです。国民の「知る権利」と密接にかかわる記者クラブの目的は、現代においても変わりはありません」(日本新聞協会HPより引用)。国民の権利を錦の御旗に掲げる以上、私的な集団でありながら、公の存在と言っているわけだ。

<「足並みをそろえる」ことも?>
 なお、この見解のなかで、『取材・報道上の調整機能』を『記者クラブ』の役割の1つとしてあげている。現場の記者同士の情報交換や記事の内容・表記の統一、悪く言えば「足並みをそろえる」ということである。護送船団方式とも揶揄されるやり方は、「報道からスクープをなくし、ジャーナリズムを喪失せしめた」との批判もある。名前は違えど、どの新聞も記事が同じとなれば、読者が複数の新聞を手に取る機会も減っていくだろう。

 閑話休題。日本新聞協会の見解には、クラブ外のメディアの参入申請について以下のように記されている。「記者クラブは、その構成員や記者会見出席者が、クラブの活動目的など本見解とクラブの実情に照らして適正かどうか、判断しなくてはなりません」(日本新聞協会HPより引用)。

 今回、弊社(株式会社データ・マックス)は、公の情報に関わる記者会見における質問の権利を求めた。クラブ側関係者によると、「質問権を認めない」との結論に至ったという。弊社はクラブ側から「不適」と判断されたようだが、その理由は半年以上待っても説明がなされていない。もはや、"説明ができない"と捉えてもいいが、公共の情報を、私的集団が公の存在として既得権にしている以上、外部の一部参加を求める声に対して、然るべき説明をする責任があるのではないだろうか。

【山下 康太】

≪ (1) | (3) ≫


※記事へのご意見はこちら

社会一覧
福岡市政を破壊する高島シリーズ
2013年11月12日 14:24
福岡市政を破壊する高島シリーズ
2013年11月12日 07:00
社会
2013年11月 6日 11:26
福岡市政を破壊する高島シリーズ
2013年11月 1日 17:24
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル