<東京独り勝ちは日本を滅ぼす、されど東京市場で勝負しないと>
2020年東京オリンピックに向けて、『東京一極集中繁栄』はますます加速化される。加速化されるために、膨大な投資がなされていく。ところが日本各地区の都市は、人口減で衰退の一途をたどるのが顕著になってくる。しかし東京大市場を攻略しないと、企業の未来はない。
<過去の東京居住者が戸惑うほどの大変貌>
福岡でビル管理業を営むA氏は、大学・会社勤務の通算9年間、東京の居住者だった。勤務先は丸の内であり、東京駅周辺一帯は熟知し、胸を張って颯爽と歩んでいたのだ。福岡に戻ったのは1991年である。
今回、業界の全国大会がありA氏は上京。久しぶりに3日間、東京都心を散策したのである。A氏が驚く。「俺も田舎者になってしまったものだ。我が庭と思っていた東京駅周辺を、スムーズに歩けなくなってしまった。まったく様変わりの様相を呈している。丸の内界隈の変貌には驚いた」。
A氏の経営者としてのコメントを付け加える。(1)A氏は、結構世界歩きをしてきた。その博識を踏まえて指摘する。「東京オリンピックまでには、ニューヨーク、ロンドンを抜いて世界一の現代都市になるだろう」。(2)建設費用1,000億円かかるビルが建設されている。この現実を目撃すると、A氏の内面では「東京で商売したい!!東京で勝負できない企業は落第企業だ」との葛藤に苛まれるという。
<東日本大震災復興を見捨てて、東京オリンピック建設集中>
東京オリンピックを成功させるためには、いくらのインフラ整備の予算が投入されるのか? さまざまな説があるが、大雑把に言えば、10兆円内外になるのではないか。オリンピック会場の関連施設建設が少なくとも1兆円、交通・地下鉄・道路関連が2兆円、民間建設・不動産投資が6兆円、その他1兆円と合計10兆円が注ぎ込まれる。狭い都市東京に7年間で10兆円の莫大な資金が集中投入されて都市改造を図れば、『世界一の現代都市・東京』が実現されることは間違いない。
だが、「短期間にそれだけの施工能力があるのか?」の問いに対しては、『まともなことをやっていたら納期に間に合わない。パニックが生じる。国際信用を失墜させる』という回答しかない。では、『尋常ではない手しかない!!』となれば、どうするのだ。全国から職人たちをかき集めるしか方策がない。その必要とされる現場作業員7,000人を、来年1月に東京に集める。彼らは岩手、宮城両県の震災復興で働いていた人たちである。
日本政府も、建設施工の現実を理解した。「これは大事だ。生半可なことをしていれば、とてもじゃないが、オリンピックの工事は遅延する」という危機意識を持った。日本全体を見わたすと、塊の作業員は震災復興の現場にしかいない。『震災復興を見捨てるのか!!』という批判を覚悟で、東京オリンピック建設集中に舵を切ったのである。
これだけでは済まない。職人を東京に取られた地方各地区で、工事現場の進捗ストップが続出するであろう。『東京だけ富んで地方細る』という傾向が、顕著になるのだ。
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