<地方は消滅自治体続出か、どこも人口減顕著・町内会消滅の危機>
最近、自治体首長の取材に行くケースが多い。そこで気になるのが人口の推移である。まずは宮崎県高千穂町町長取材にいって気づいたことがある。役場に宮崎県人口112万人と記してあった。「120万人に迫っていたのではないかな。これは意外と少ないな」と思ったので調べてみた。2015年10月1日現在で112万650人(男、52万6,078人、女59万4,572人)。ピーク時は1995年で、当時と比較すると6万人減っている。
その宮崎県のなかの高千穂町でいえば、1954年前後が最大で、2万9,000人いたといわれる。それが本年10月1日で1万3,024人と55%まで減っているのである。町の行政面積は237.32m2で福岡市のおよそ半分、その広さにこれだけの少ない人口しかいないのだ。深刻なのは最近の人口の急減傾向である。高千穂町の1970年から2010年の人口推移(資料1)を参照されたし。1070年に2万2,131人いたのが40年後の2010年には1万3,723人まで8,408人も減っているのだ。今後、高齢者の死亡数が急増するから、一段と人口減少に拍車がかかる。
高千穂町はまだ良い方だ。全国ブランドの観光資源があるから、他の自治体よりは多少は恵まれているほうだ。隣接町に日之影町がある。昔は錫の鉱山があり最大人口は2万人いたようだ。これまた1970年から2010年までの人口推移(資料2)を見ると驚かれるであろう。1970年の人口1万261人、2010年4,463人で5,798人も減っている。55%減だ。加えること、この3年間(10月1日現在の人口、4,158人)で305人も減っているのだ。これではこの町の至る所に限界集落の存在があることがわかる。いや集落が消滅したところがあるだろう。いやー恐ろしいことだ。
先週、鳥栖市橋本市長を取材に行った時にも厳しい現実を知らされた。佐賀県全体の自治体で人口が増えているのは鳥栖市だけなのである(資料3)。「鳥栖市は歴代の先輩市長たちが企業誘致に注力した結果、雇用の場が増加した。昼間の転出人口と転入人口は転入者が多い」(橋本市長談)。県庁所在地の佐賀市ですら人口が減っているのである。一体、10年、20年先の佐賀県はどうなるだろうか?
<美しい国はどうなるの?安倍さん!!>
8日に鹿児島商工会議所会頭に地元の名門企業・岩崎産業社長が就任した。同氏は以前から「東京の独り勝ちは地方を疲弊させる。カネが東京に集まる構造を是正しないと日本国家自身が成り立たなくなる」と警告を発してきた。これだけ堂々と正論を展開する経営者は少ない。商工会議所会頭の要職に就くと気配りも必要だが、まず維新の拠点、鹿児島から地方活性化のリーダーシップを発揮して頂きたい。
安倍さん!!貴方の【美しい国】はどうするつもりなの?岩手・宮城の震災復興を遅らさせても東京オリンピック建設に集中させている(このシリーズ前号を参照)。人口減に悩まされているのは佐賀県だけはない。貴方の出身地・山口県も然りだ。貴方は我が故郷・山口県の廃れを見て心は痛まないのか?安倍氏は【東京だけが繁栄し地方が沈む】ことを【美しい国のあり方】と考えているのであろうか。
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