2013年6月期決算で、売上高104億円(対前年比24.1%増)、営業利益14億円を達成したあなぶき興産九州(株)。供給戸数706戸(不動産経済研究所調べ)、売上戸数427戸はともに九州のマンションデベロッパーではダントツだ。昨年10月に就任した土居年典社長は、「生活者の多様なライフスタイル、ニーズに応えることを使命に都市力の一端を担う」と語る。
<家族形態の変化でコンパクト型も>
不動産経済研究所によれば、九州のマンション販売はここ2年、順調に推移している。
要因には金利の低下、リーマン・ショックが影響した住宅供給の減少、金融引き締めによる土地価格の下落などがあるという。
あなぶき興産九州(株)は消費税値上げは折り込み済みで、来期の契約は終了。売上118億円(13.4%増)、営業利益11億円を目標に掲げ、増収ながらも減益と予測。すでに2015年度の販売にも着手しており、増税の影響がどう出るかを見極めている状況のようだ。
「弊社は基本的に多くの方々が購入できる商品、価格帯を提供することを使命と考えています。ただ、企業ですから赤字を出すわけにはいきません。あくまで使命は使命として考え、収益もきちんと出す企業になることを目指しています」と土居年典社長は市場と経営のバランスを重視する。
長期的に見ると、生活者のライフスタイルが多様化し、マンションに対するニーズも変わっていく。マーケティングや商品開発は、今後の経営を左右する肝と言えそうだ。
「今後は家族形態が一生独身の1人暮らし、2人暮らしでも夫婦や片親と子どもとか、いろいろ変わっていくと思います。ですから、1つの棟にシングルの人も買えるコンパクトな間取りもミックスするなども考えていかなければならないでしょう」と、マルチタイプの商品開発も視野に入れる。
<管理能力と信頼性で都市生活を守る>
もちろん、人口が150万人を超えた福岡市の街づくり、住生活には同社も期待する。
「インフラが充実し、県外からも集客できる意味で、ミニ東京化しています。ただ、郊外から中心部までの通勤時間の短さは、福岡のメリットでしょう。弊社の物件も電車で中心部から30分圏内に十分入ります。都市と郊外の両方を兼ね備えるのは魅力です」。
たしかに東京と同程度の利便性を備えつつ、3LDKの物件が3,000万円台で手に入るのは、福岡の大きな価値と言える。
戦略がほぼ固まったことで目下、ブランドバリューの確立を急ぐ。とくに媒体戦略で重視しているのがラッピングトレイン。都市中を走り、電停では静止するため、生活者の視認性が高いからだ。すでに長崎や熊本の市電で実施し、鹿児島でも計画中という。
また、物件を販売すれば終わりではなく、終の住処として「管理」にも注力し、さらなるブランド力のアップを狙う。
「お客さまのニーズに沿った管理ソフトを充実させています。また、経済状況の変化で物件を手放さなければならなくなった場合も、弊社が買い取って再販し、管理組合がうまく機能していく手助けをグループ全体で行なっていく考えです」と、グループの総合力を結集した戦略で臨む。
マネジメント能力の高さとグループ一体の信用力で、同社はマンションライフ、都市生活の安全快適・安心を支えている。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:土居 年典
所在地:福岡市博多区御供所町2-63
設 立: 2007年2月
TEL:092-292-4420
URL:http://www.anabuki-k.co.jp/
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