<目指すは完全循環型社会の提案>
――父親から経営を継承されましたから、家族については居心地の良さとはまた別の価値観もあることでしょう。
大山哲寿社長(以下、大山) 父である先代は、最大のライバルです。乗り越えるために、衝突するのは当たり前です。居心地の良さを追求してはいられませんよ(笑)。
先代は長年経営してきて、自分なりの経営哲学を持っています。違う世代の自分が同じことをしても仕方がありません。基本は同じだと思いますよ。家族ですから、同じ株から伸びる樹木のようなものです。樹木も生長するうちに、分かれ出た部分が主幹になるときがあるでしょう。それと同じで、私は、先代とまったく違う業種のビジネスをやるつもりはありません。ただ、トップが2人いると混乱するので、任せてほしいと伝えています。そして自分の世代ならではの哲学で経営しています。
そもそも解体業は江戸時代に、今で言うリサイクル業として始まりました。それが戦後、スクラップ&ビルドになり、先代は、この時代の価値観を受け継いでいるのだと思います。しかし現代、また昔のリサイクル業に戻りました。解体業は壊すのではなく、「再生するために壊す」業界なのだと私は思います。再生するために何かを犠牲にするのは矛盾しています。だからこそ「ハイ3R」の実現を目指し、廃棄物ゼロの完全循環型社会を提案し続けます。
――「ハイ3R」について、お話していただけますか。
大山 まず、3Rについてですが、廃棄物の発生抑制(Reduce)、再利用(Reuse)、再資源化(Recycle)の頭文字を合わせたものを指します。弊社は環境産業の現場に立つものとして、さらに高いレベルでの3Rを「ハイ3R」と銘打ち、高次元での資源循環を実現させようとしています。再生可能エネルギーを活用したリサイクルプラントの導入、メガソーラーで得られた電力を市中で利用できる仕組みづくり、さらにリサイクル資源を安定的に獲得し、ハイ・リサイクルを試みてもいます。
メガソーラーで得た電力を利用する件については、今、法律の改訂が進められ、いずれ決まったワット数で電力を買い取ってもらえるようになりつつあるようです。その法案が制定されれば、我々がつくったクリーンエネルギーを、電力を必要としている地域の企業や個人に分けることができます。PPSのように電力小売がさらに進んだような仕組みもありますが、これは九電などの事業の一部代替的なことをやる電力小売業のようなものです。私は、独自に地産地消エネルギー業を行なってみたいと考えています。
――循環型社会の形成において、地産地消は一番理に適っている感がありますね。
大山 7年前、ドイツでクリーンエネルギーを地元でまわしている地域を見ました。さまざまなクリーンエネルギーがあり、すでに実践している前例があるからこそ、やってみようという憧れも芽生えますね。
<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市東区千早2-2-43 sanwaビル3F
資本金:3,000万円
TEL:092-671-1855
URL:http://www.sanwa-iec.com/
<プロフィール>
大山 哲寿(おおやま・てつひさ)
1972年生まれ。97年、(株)三和興業に入社。社外でも、福岡青年会議所第58代理事長などを歴任し、まちづくりや地域振興などに精力的に活動する。2011年、同社社長に就任。
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