福岡市役所の一部をタダで利用し、市政情報を既得権化した福岡市の市政記者クラブ「福岡市政記者会」が、外部メディアに対して嘘をついていた。「真実を報道する」と自称する身でありながら、自らの信用を貶めた。NET-IBは、改めて「福岡市政記者会」(以下、市政記者クラブ)に強く抗議する。
市政記者クラブは、NET-IBを運営する弊社((株)データ・マックス)が今年4月に書面で提出した記者会見における質問権を求めた要望書に対し、「認めない」旨だけを記した文書を、約7カ月間も待たせたあげくに寄越した。ところが一方で、福岡市のニュースサイト「HUNTER」が10月4日に行なった記者会見に関する4つの質問には、「福岡市政記者会では、記者クラブの目的や役割等にかんがみ、その都度、適宜、適切に判断しております」と一括して回答。異なる問いかけに一括回答とは、「事実上の回答拒否」と言われても仕方がないが、「都度、適宜、適切に判断」という対応は、弊社への対応とまったく整合性がとれない"嘘"である。今回、市政記者クラブは弊社に対し、記者会見における質問権について理由を説明せず、ただ単に「認めない」とした。「都度」でも「適宜」でもない。「永久に認めない」と言っているのである。
また、回答に7カ月もかけることが記者クラブのいう「適切」なはずがない。回答を待たされている間、弊社記者の3度亘問い合わせに対し、市政記者クラブ側の説明は二転三転(前回の記事(3)を参照)した。そのなかで「結論が出ている」「文書作成中」などといった嘘もついていた可能性があり、現在、市政記者クラブに確認中(11月13日に質問書を送付)である。なお、市政記者クラブが回答文書を弊社に送ったのは11月12日。同日、「HUNTER」に対しても回答がなされていた。
一方、記者会見における外部メディアへの対応は記者クラブによって異なる。昨年夏、「HUNTER」は、九州7県の記者クラブに記者会見に関する4つの質問を実施。外部メディアの質問権についての回答は、宮崎県「認めている」、福岡県「状況に応じて対応」、熊本県「幹事社了解で可」であった。このほか、大分県「認めていない」、佐賀・長崎・鹿児島「日本新聞協会編集委員会の見解に沿って運営」であった。
日本新聞協会編集委員会が出している記者クラブに関する見解では、「記者会見参加者をクラブの構成員に一律に限定するのは適当ではありません。より開かれた会見を、それぞれの記者クラブの実情に合わせて追求していくべき」とし、「公的機関が主催する会見は、当然のことながら、報道に携わる者すべてに開かれたものであるべき」としている。この見解の主旨と市政記者クラブの弊社への対応は、記者会見への参加を認めてはいるものの、完全に整合性がとれているとは言い難い。
さらに、同じの見解のなかで、記者クラブについては、「公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される」とされている。代表して回答を出した朝日新聞の記者によると、今回の対応は、市政記者クラブの「総意」。つまり、市政記者クラブの「ジャーナリスト」たちが、外部に対して嘘をつくという"実績"をつくったことになる。
なぜ、日本新聞協会とも他の記者クラブとも異なる独自路線を突き進んでいるのか。また、各社上層部は、この現場の惨状を受けて危機感を持たないのだろうか。ひとりの新聞読者として、そういった素朴な疑問も抱いている。
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