九州・山口・広島に本店を置く地方銀行22行の13/9月期(中間)の決算が出そろった。昨年12月に発足した安倍政権が打ち出したアベノミクスにより、大手の輸出関連企業は円安を背景に業績は急回復しており、日本経済には明るい兆しが見られようになった。
銀行を始めとする金融機関も一昨年3月11日に発生した東日本大震災以降、長引く景気低迷の煽りを受けて暗いトンネルを抜け出すことができなかったが、政府・日銀の金融緩和策にともなう景気テコ入れ策による不良債権の処理費用の減少や、債券売却益などによって中間決算(13年9月期)は総じて好決算となった。
ただ、景気回復の恩恵は東京・大阪・名古屋など一部の都市圏が中心であり、今後九州・中国地区などの地方にも波及してくるかどうかは、来年4月から実施される消費税増税に対する経済政策如何にかかっており、通期決算(14年3月期)における最終利益については慎重な見方をしている銀行が多い。
九州地区、とくに北部九州では、山口銀行から事業継承し2011年10月に発足した北九州銀行が積極的に新設店舗展開を進めている。既存の福岡銀行や西日本シティ銀行なども着々と顧客の囲い込みなどの対抗策を講じており、目が離せない状況となっている。
公表された九州・山口・広島の地銀(22行)の13/9月期(中間決算)は別表1に掲げた通りであり、その内容について検証してみたい。
【預金残高について】
<5兆円以上の銀行>
第1位 福岡銀行 8兆4,395億円
第2位 西日本シティ銀行 6兆9,502億円
第3位 広島銀行 6兆2,140億円
・福岡銀行、西日本シティ銀行ともに福岡市に本店を構える銀行であるが、福岡市の人口は150万人を突破しており、当面両行の不動の地位は揺るがない。
・福岡フィナンシャルグループ(FG)は、福岡銀行、親和銀行、熊本銀行を傘下に収めており、今後九州各県に攻勢を強めるもの見られており、再度金融再編の核となることも予想される。
・西日本シティ銀行は、22行中預金量が21位の長崎銀行を系列行としているが、いずれは吸収合併する道を選ぶものと見られる。
・広島銀行は、山口FG傘下のもみじ銀行の追い上げがあるものの、百万都市広島市では圧倒的な強さを発揮しており、その地位は安泰といえる。
この上位3行は将来予想される地域金融機関再編の核となるものとの見方をされている。
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