脱税容疑で国税の査察を受けていた「アースハート」に対し、船井メディアの前代表・野々垣健五氏は狡猾だった。まず、自社ではなく、関係する税理士法人にアースハートの面倒を見させるかたちで、カネを吸い上げさせたのである。
その税理士法人は、東京都新宿区に本部を置き、埼玉、福岡にも拠点を構える「O」。アースハートは、この税理士法人と契約するに至るが、アースハート側が税理士法人を信用したのは、信頼する「船井」の紹介だったとことに加え、税理士法人が差し向けるという複数の税理士が、元国税の職員だったということに尽きる。問題解決に当たる税理士が国税に顔が利くとすれば、査察で有利な状況をつくり出すことも可能。アースハート側はそう考えただろうし、何より野々垣氏が「これで大丈夫」と太鼓判を押したのだという。
結果、2012年3月に結んだ税理士法人との調査委託の契約金は5,200万円という高額なものになっている。国税の査察が無事終了し、アースハート側の傷が少なかった場合は、5,200万円(一説には7,000万円とも言われる)、驚くことに、何の問題もなく終了した場合は、約2億円を追加で支払う約束になっていたという。
刑事事件になりかねない事案を、いくら国税あがりの税理士とはいえ、もみ消しに近いかたちで闇に葬ることはできまい。ハメられたかたちのアースハート側に焦りがあったとしか思えないが、関係者の話を聞くと、「野々垣にしてやられた」という声が聞こえてくる。船井メディアの野々垣氏は、アースハート側の危機感を煽ったうえで、税理士法人を紹介。さらに検事あがりのいわゆる「ヤメ検」弁護士まで引っ張り出して安心感を演出したのだという。
税理士法人側の誘いだったのか、野々垣氏の仕込みかは判然としていないが、このほか、同法人は調査契約金とは別に、アースハートおよび関連法人との間に顧問契約も結んでいた。その額だけでも500万円近くにおよぶ。どう見ても不自然。通常ならあり得ないカネの動きだ。
この税理士法人との関係がきっかけとなり、アースハートは野々垣氏の術中にはまっていくことになる。契約と同時期、アースハートは、野々垣氏が代表を務めていたある会社に4,000万円以上の貸し付けを行なっていたのである。
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