日本固有のラン藻類で、江戸時代から高級食材として珍重された川茸(和名 スイゼンジノリ)の加工販売業者、遠藤金川堂を守ろうと声を上げた(有)味の兵四郎の野見山正煇社長に聞いた。
――味の兵四郎として、今後どのような支援を考えていますか。
野見山正煇氏(以下、野見山) 食品の販売会社として、販路を持っているので、スイゼンジノリの販売を手伝うことを提案しました。仲間にも声をかけて、販売を支援していこうと考えています。知り合いの料亭や弊社の取引先である百貨店に声をかけてみようと思います。そのほかにも、たとえば、弊社の販売する米酢とスイゼンジノリをセットにして、販売など弊社で支援できる方法はないかと思っています。
認知度の向上も重要で、価値観の創出と宣伝の仕方にも協力したいと思います。まずは認知度を高める必要があります。爆発的に売ろうという考えではなく、守っていけるだけの販売を継続していきたい。川茸がここにしかなく、ここでしか食べられない希少性をもっと打ち出していかないと。朝倉全体で観光客へのPRをしていく方法もあります。
――今後の課題はどんなことが挙げられますか。
野見山 ポンプ稼動の費用が打ち切られたときのことを懸念しています。またポンプが稼動を続けても、今のポンプは下流域だけをカバーしています。生産量を増やしていくためには、上流でも生産を始める必要があります。食用は朝倉の黄金川で生産し、工業用はほかの河川でも養殖できるような体制を作っていけばその課題は解決の糸口になるでしょう。
――野見山社長をこれほどまで、突き動かすものは何ですか。
野見山 遠藤金川堂には江戸時代からの古文書も残っていると聞きます。それだけでも地域の宝です。17代、250年続いてきた歴史と伝統をここで絶やすわけにはいきません。ここにしかない川茸とその製法を残していきたい、それだけです。
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