11月9日、福岡で、「帯津良一『場』の養生塾」塾頭として、がんと共に生きる人々たちへ希望と生きるエネルギーを伝え続ける帯津良一氏の「博多養生塾」が、NPO法人日本ホリスティック医学協会福岡事務局の主催で開催された。講演「いのちのエネルギーを高める養生とは」と「呼吸法の実践」の2部構成で行なわれたなかで、「今後、年に1度は、貝原益軒の『養生訓』発祥の地である博多で養生塾を行なっていく」と語った帯津氏が、統合医療をどのように考え、人々に何を伝えようとしているのか紹介する。
<これからは攻めの養生を>
帯津氏は、「養生」を次のように考えている。「昔の養生は守りの養生。病を未然に防いで、体を労わって、天寿を全うするという消極的な姿勢が感じられます。しかし今後は命のエネルギーを高める、攻めの勢いをもった養生でなくてはならないと思います」
この思いを、今は亡き太極拳の大家、楊名時先生に相談した。楊名時先生は60年ほど前に、中国の国費留学生として、京都大学哲学科に学び、その後日本に帰化。中国の国技である太極拳に禅の心を取り入れて日本に広め、2005年に死去した後も "日本における太極拳の父"として知られている。その楊名時先生に「太極拳を用いてできるだけ多くの人々に『攻めの養生』を伝えたい」と願い出て、その場で快諾をいただいたという。
<良い顔は養生の表れ>
攻めの養生を求めて、帯津氏が「楊名時健康太極拳21世紀養生塾」を設立したのは2000年5月。帯津三敬病院がある埼玉県川越市で設立パーティが開かれ、75人の塾生が集まった。当時、道場の広さは48畳。20人以上で太極拳を行なうのは無理がある広さで、1日数回に分けて開催した。塾生の太極拳歴は師範格から初心者と様々で顔ぶれもさまざま。動きがまったく揃わなかった。しかし3カ月程経った頃、ふとあることに気がついたという。それは太極拳の動きはばらばらだけど、みなとても良い表情をしているということだ。いのちが溢れているように見えた。「気持ちを込めてやれば、技術はなくても良い表情になるものだ」と感心した。そこで思い出したのが、仏教学者で合気道の大家もある鎌田茂雄氏の言葉だ。氏曰く「太極拳は形ではありません。命が溢れていればいいのです」。なるほど、やはり自分がやろうとしていることは間違っていないのだと確信した。
帯津氏も自身の病院で行なっている気功の実践とおして「人の顔の良し悪しは、形ではなく、内面から溢れ出てくる生命エネルギーのようなもので決まる」という実感を得ている。わかりやすく言うのなら、免疫力や自己治癒力が高まっている状態が顔に出る、と考えてもらっていい。免疫力や自己治癒力が高い人が増えれば、病気になったり必要以上に薬に頼る人も減るだろう。これこそが養生であり、良い顔をした人が増えれば社会全体が健康になるだろう、と帯津氏は考えた。
理想は養生塾を世界中でやることだが、まずは日本で増えてくれればと願った。するとまずは長野県の飯綱高原にあるいのちの森文化財団代表理事の塩澤みどり氏と副理事の塩澤研一氏が、「自分たちが運営する施設、ホリスティック・スペース水輪で養生塾を行なわせて欲しい」と申し出てくれた。それを皮切りに、北海道から沖縄県まで全国20カ所で養生塾が行なわれるようになった。そして今年は福岡との縁ができた。
<駿台予備校での医者を志す若者たちとの出会い>
今回帯津氏は、もうひとつ「良い顔を見た」経験を語ってくれた。それは東大、京大、医学部志望者が多く集まることで有名な駿台予備校での体験だ。帯津氏は同校で毎年1回19年間講演を続けてきた。きっかけは、駿台からの特別講演依頼だった。だがそのときは、医学部志望者の学び舎で良い顔をした若者たちに出会えるとは思っていなかったという。
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