<民意を反映できるシステム構築>
審議会など多くの政策決定プロセスは、国民からやや離れたところにある。原発推進のエネルギー政策や秘密保護法などでも、閉じられたところで案の形成が進められてきた。
原子力資料情報室共同代表の伴英幸氏は、エネルギー政策の審議会などでは「優秀なメーカーがダメになるから原発を維持していかなければならないという議論になっている」と指摘。国家の一大事に、メーカーとその技術の維持が重要視され、国民の声ではなく、一部の大企業の利益が、政策に優先的に反映されているという。
日本の組織構造上の問題点として、問題の大と小が入れ替わってしまい、大利よりも小利が重く見られてしまうことがあるが、ここでも、事の大と小が入れ替わっている。伴氏は、「政策決定のプロセスに、国民の意見を聞くシステムを今よりも組み込まなければならない。エネルギー政策で言えば、国会審議事項にして国会エネルギー調査会を設置するなどして、大きな方針変更の際には、審議を尽くして決定することが必要」と語る。
国会と国民をつなぐのが国会議員。その入り口である選挙。昨年末の衆院選では、民意の100%は政治に届かせることはできないという選挙制度の抱えている問題点も露呈した。
<オープンな場で公論形成を>
さらには政策について、国民的に意見交換、議論をする場が少なく、国民の意見を反映させた政策が、審議会だけでなく、国会の本会議へと続くルートに乗っていかないというのも問題点として挙げられた。今後、政治を、より国民の意見を反映した場にしていくには、システムの改善、改正も必要となってくる。法政大学社会学部の舩橋晴俊教授は、長期的な視点で、政策案形成の場を新しくするべきと指摘する。
政策は、多くの人々の見ている場で議論、形成され、オープンに決定されるのが、民主主義の本筋だが、そうはなっていない。舩橋教授は、政策の議題設定と政策案の形成の両方において、市民による「公論(世論)形成」の場を今よりも増やし、政策をよりオープンな場で議論し、多くの人にとってわかりやすく決定へと導くことを課題に挙げた。
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