セメントの生産と供給が厳しい情勢にある。
セメント協会による直近の発表で、2013年9月のセメント生産量は514万9,000トンで前年同月比100.4%。今年度(4~9月)の6カ月連続に加え12年度からの分を数えると7カ月連続で前年比を上回ることになる。国内での9月の販売は、389万7,000トンで前年同月比106.8%と生産量と同様に今年度6カ月連続、12年度からは9カ月連続の前年の実績を上回った結果となった。
13年度のセメント需要の見込みとして同協会は、4,600万トンと公表していた。だが、東北地方の復興特需と、九州、近畿での災害復旧需要、大都市圏の民間需要が好調で、国内需要の上方修正を行ない、4,700万トンとした。さらに、10月に発生した台風26号による三宅島の甚大被害を筆頭に、各地の自然災害による需要が増える公算が大きい。太平洋セメント、住友大阪セメント、三菱マテリアル、宇部興産のセメント大手4社の14年3月期上半期連結決算において全社が増収、増益となったことがその証である。
我が国では、20年の東京オリンピック開催によるインフラ整備と各施設の建設ラッシュ。一方で、地球上の気象の激変でわが国を含めた世界各国で、異常気象による自然災害が今後も発生しその数は増加するであろう。開発と復興・復旧という両極の需要のなか、セメントの市況は活発であるが、生産が需要に沿うのだろうか?「我が国では、年間約1,000万トンの輸出があります。現況では国内需要が増加傾向で生産がタイトであります。メーカー各社に対して、国内需要を優先し輸出量を抑えていただくようお願いしております。また、供給においても、工場からサービスステーションへセメントを運搬するタンカーそしてお客様へ運搬するトラック増車の手配も順次実施して、各社最善の生産と供給の体制をとっております」(同協会)。上方に修正した4,700万トンの国内需要よりさらに上回ることも予想される。それを、見越した生産と供給の仕込みは実施しているというが、今後の市場の推移に注目である。
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