3月のWBCで湧いたはずの台湾、日本だったが、11月に開催されたアジアシリーズで、台湾の選手や野球ファンからは「日本への不満」が吹き出した。
11月20日まで台湾・台中で開かれていた「アジアシリーズ」は、オーストラリアのキャンベラが優勝。台湾からは、台湾シリーズを制した統一と、主催国特別枠から義大が出場。義大は予選で敗れ、2連敗。統一は、予選を2位で突破した。
準決勝では日本の優勝チーム・楽天と対戦。楽天は日本シリーズでフル回転した田中将大、則本らを登板させず、打者でも松井や外国人の助っ人などはメンバーから外した。統一が4−1で下し勢いを見せた格好だが、台湾の野球ファンからは「なめているのか!」といった声があがった。統一ライオンズの複数の選手からも「日本の主力メンバーと対戦できることを楽しみにしていたが、残念なメンバー構成だった」と不満を口にした。
決勝は、準決勝で韓国王者サムスンを倒したオーストラリアのキャンベラと、統一ライオンズの顔合わせに。統一は7回に中継ぎ陣が崩れ、7回に5点、8回に6点という大量失点。4−14で敗れ、開催国である「台湾」チームのシリーズ制覇はならなかった。
11月は、台湾を舞台に、日本と台湾は2つの「対戦」を行なっている。1つは小久保裕紀新監督率いる「日本代表」の強化試合で、若手中心のメンバーが台湾を訪れ8日から10日まで3試合を行なった。結果は日本の3連勝に終わった。日本の民放局が全国ネットで中継したが、しらけモードに予防線を張ってか、放送の際、「台湾プロ野球リーグ」の選手は誰も出場していないことにはほとんど触れられなかった。日本は若手中心の選手だったが、台湾は「それ以上に」格下のメンバーを集めていたのだ。開催された新荘、天母の両球場に空席が目立ったのはそういった理由も大きかったかもしれない。
2つ目の対戦が「アジア・シリーズ」。準決勝で両者は対戦したが、統一のほぼ完全な主力メンバーに対し、楽天の投打ともに主力を欠いた選手構成、さすがにファンは黙っていなかった。11月に2回も「対戦」を組みながら、どちらも手を抜いたメンバー構成。フラストレーションが溜まったファンは、田中将大を帯同させていながら登板させる様子もない楽天ベンチに向かって「田中投げろ!」「投げないくせに台湾まで『冷やかし』に来たのか!」「台湾料理を食べにきただけか!」と怒号をぶつける始末。台湾・統一が勝ったとはいえ、後味の悪い試合となった。
日本・楽天同様に、韓国・サムスンも主力を外して準決勝で敗退。主力を出さない大会は、果たして開催する必要があるのか。見れば見るほどストレスが溜まる試合に、今後、アジアシリーズの「開催意義」がさらに問われることになりそうだ。
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