スイゼンジノリから抽出されるサクランはヒアルロン酸以上の保水力を持ち、さらに抗炎症効果も確認されている。熊本発祥のスイゼンジノリをビジネス化し、種の保存、地域の活性化を目指す金子氏に聞いた。
――サクランの有効性などを教えてください。
金子慎一郎氏(以下、金子) 保水性は化粧品の原料にされているとおりで、ヒアルロン酸よりも高い数値が実験でも証明されています。サクラン1グラムで6リットルの水を吸着します。また薬学や医学の研究で、炎症を抑える効果があることがわかっています。ただ医薬品として、導入されるにはまだ時間がかかりそうです。
さらにレアメタル・アースを吸着する働きがあることがわかりました。大学レベルではすでに原理確認までは終わっていて、参画する企業を探すことと、経済性の問題を解決することがビジネス化する際の課題となっています。化粧品以外の場合は必要になるサクランの量が圧倒的に多くなってしまい、今のスイゼンジノリン生産量では追いつかないのが現状です。現段階でサクランを使用した商品は化粧品だけです。リバテープ製薬(株)の化粧品『咲水』は去年の7月から販売されています。
今、ようやく入口であるスイゼンジノリの生産から出口であるサクランの卸販売まで整いつつある段階です。今は供給量が少ないので、あまり一度にたくさんの量を納められません。ですから、入口と出口のバランスを取りながら、販路の拡大を行なっています。
――朝倉市の黄金川再生について、どのような想いがありますか。
金子 これまで何年も前から再三、市には陳情を出していたようです。廃業の危機を迎えて、ようやく市が動き出しました。住民の皆さんも朝倉市も、養殖業者2社がポンプを止めたら黄金川がなくなることを視察まで知らなかったと思います。ただスイゼンジノリについて、私は逆説的な意見を持っています。多くの方が保全と言い続けても、熱心な方がいなくなれば保全されないと思っています。それが、熊本の現状です。商売として残っていくことができれば、つまりビジネス化して経済の流れに乗せることができれば、種の保全につながると考えています。それを遠藤金川堂の250年が証明していると思います。
――今後の目標を教えてください。
金子 当面の目標は サクランを年間に100キロ生産すること。そして、最終的には今のヒアルロン酸と同じように誰でも知っている原料となるようにサクランを普及させたいと考えています。
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