来年(2014年)4月に開園予定の新・中央保育園の工期遅れについて、「係争中であること」を理由に保護者の説明に一切応じない福岡市と保育園。現在の移転予定地に反対している保護者は26日、記者会見を開き、工期遅れの証拠となる資料などを公開した。中央保育園保護者の会代表の堀田剛氏は、工期遅れ隠ぺいの事実と遅れによる影響について「市民の方たちに伝えてほしい」と強く訴える。
今回、公開された資料は、新築工事を行なっている建設会社が施主側に対して提出した「工期変更に伴う要望・検討事項」と工事関係者による定例会議の議事録。これらは福岡市のニュースサイト「HUNTER」が入手し、保護者に提供したもの。「HUNTER」では、すでに工期遅れとその隠ぺいについて詳報を掲載し、追及している。(詳細はコチラ)
建物の一部が設計上つながっていることを理由に「1つの保育園」と市が主張している新・中央保育園だが、資料では「A園」「B園」と表記。このうち、A園は、修正工程として「5月31日 引き渡し予定」「6月1日 開園予定」となっている。A園は計画上、定員135名の「第2中央保育園」となる建物だ。一方のB園も、開園予定に間に合わせるために、2014年1月14日以降の日祭日作業の実施やコンクリート養生期間の短縮、夜間におよぶ作業時間の変更が必要とされ、その際には、近隣住民への説明や工期短縮・変更に伴う追加費用も施主側(市、保育園)に求めている。追加費用は数千万円におよぶといわれており、その出処は「全額福岡市」、すなわち市民の税金だ。
そのような計画の修正を行なっても、B園は3階部分が内装仕上げ工事中のため使用できない。また、A園工事のため、園庭も使用できない。そうした事情も、市側は「開園に間に合うよう努力します」の1点張りで子どもを預ける保護者に話そうとしない。
園庭が使用できないことで、万が一の際の避難経路に影響が出る。また、認可を出すために、新・中央保育園から離れた警固公園を園庭とする考えもあるという。保護者からは、「安部整形外科の火災が全国的な問題となった後で、市長は何を考えているのか」「6月1日にオープンすればいい。誰もそんなもの(不完全な保育園)を望んでいない」と不安の声があがった。
なぜ、2014年4月1日の開園にこだわるのか――。
その答えは、「待機児童ゼロという市長公約達成のため」にほかならない。「彼(高島市長)のパフォーマンスのためになぜ、我々が犠牲にならなければならないのか」と、堀田氏は怒りを顕にする。また、保護者に説明なく事業再開を強行した時は、市が移転計画の内容を「市政だより」に大きく掲載したことに触れ、都合の悪いことはオープンにしない高島市政を批判。「ウソから始まり、取り繕って破綻、当事者はダンマリという最悪なパターン」と、的確に表現した。
なお、中央保育園保護者の会は、12月1日(日)午後2時から、現・移転予定地横の農民会館4階で中央保育園移転事業に関するシンポジウムを開催。保育関係者や有識者を招き、一般市民を対象に、移転事業の問題点についてわかりやすく説明する。この問題が、決して保護者や子どもたちだけの問題ではなく、税金をムダに使われている市民の問題であることが理解できるはずだ。なお、今回の会見も、市政記者クラブに属する報道機関に対して、「広く福岡市民に伝えてほしい」との想いで開かれている。
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