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濱口和久「本気の安保論」

歴史に学ぶ外交力 日露戦争の陰の功労者・金子堅太郎(前)
濱口和久「本気の安保論」
2013年11月27日 16:15
拓殖大学客員教授 濱口 和久

<ルーズベルトとの出会い>
 元老・伊藤博文から特命を受け、独り米国に渡り国家存亡の危機を救った男こそが金子堅太郎である。金子の使命は第26代米国大統領セオドア・ルーズベルトに日本の立場を理解させ、講和の仲介を依頼することであり、同時に米国での親日世論工作であった。

 金子は、嘉永6(1853)年に福岡藩士勘定所附・金子清蔵直道の長男として、筑前国早良郡鳥飼村字四反田(現在の福岡市中央区鳥飼)に生まれた。明治4(1871)年に岩倉具視欧米使節団に同行した旧藩主黒田長知の随行員となり、米国に留学し、後に講和条約の日本側全権大使となる小村寿太郎とともにハーバード大学で法律を学んだ。その時の同級生がルーズベルトである。その後、議会制度調査のために再び渡米するが、ルーズベルトと親交を結ぶようになったのはこの頃からで、この時の2人の関係が日本を救うことにつながった。

<金子の民間外交の力>
clock.jpg 日露戦争期に同じように海外で日本の危機を救うために奔走した日本人としては、伊藤博文の長女と結婚し渡英した末松謙澄、日本債起債による戦費調達を英国で行なった高橋是清、フィンランドなどに潜伏してロシア革命支援工作を行なった明石元二郎などがいるが、金子の米国での活動がなければ、日露戦争終結に向けての講和は絶対に上手く運ばなかったに違いない。

 実際、日露戦争末期、日本はもうこれ以上戦争継続をすることは難しい状況であった。軍事費の圧迫により、国家財政は破綻寸前であった。日露戦争には19億円の戦費を費やしたが、これは当時の国家予算の約3倍にも上る。日本兵の死傷者数も甚大で、特に陸軍では士官クラスが殆ど戦死するという壮絶な状況まで追い込まれており、とても組織的な戦闘継続は不可能に使い状態となっていた。

 ではなぜ、金子は終戦工作を成功裏に収めることができたのか。どのようにして米国世論を味方に付け、ルーズベルトを講和仲介へと導いたのだろうか。

 金子は米国留学の経験から、米国民の国民性をよく理解していた。日本が日露戦争を戦っている大義について、英語で論理立てて主張を展開できた金子の英語力の高さもあっただろう。しかしそれ以上に、武士道精神を体現した金子の言動姿勢こそが、意外な力を発揮したと言われている。

(つづく)

| (後) ≫

<プロフィール>
hamaguti_p.jpg濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。現在は、日本防災士機構認証研修機関の(株)防災士研修センター常務取締役。著書に、『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)、「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版)。11月25日には、夕刊フジに連載中の企画をまとめた『探訪 日本の名城 上-戦国武将と出会う旅』(青林堂)を発売。公式HPはコチラ


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