<抗議活動実らず>
安全保障の機密漏えいの罰則を強化する特定秘密保護法案は26日、衆議院で採決が行なわれ、自民党、公明党など賛成多数で可決されて成立に近づいた。政府は、参院でも法案をすぐに審議入りさせ、今国会中に成立させる意向。知る権利、報道の自由の確保など懸念を抱えたまま、参院での審議に移る。
26日に行なわれた衆院国家安全保障特別委員会で民主党など野党が反対。採決は、夜にずれ込んだ。この日、国会議事堂前、首相官邸前、国会議事堂裏の参議院議員会館前などに2,000人を超える市民らが集まり、法案通過への抗議活動を行なった。市民らは、拡声器やプラカードを使って、法案成立に反対。「秘密保護法は国民の権利を軽視している」「もっと念入りに審議すべきだ」「みなさんもフェイスブック、ツイッターで呼びかけてください」などと声を上げた。
<懸念の声いまだ多く...>
仕事帰りにツイッターでの呼びかけに応じて駆け付けたという40代の男性は、「特定秘密の定義があいまいすぎる。秘密の範囲が明確でないので、行政側の都合のいいように解釈されることもあるのではないか。安全保障の問題は重要ですが、もう少し中身を吟味して通過させても遅くないのではないか」と、語った。
埼玉県から来たという30代の女性は、「知る権利が侵害されたり、国の隠したいことが隠されて、もっと情報が閉ざされた感じになるのではないかと心配しています。原発事故の情報は特定秘密に入らないと言っていますが、そのへんも今のままではあいまいなので、どうなのかわからず心配です」と不安の声。午後7時過ぎの首相官邸前には、500人ほどの市民が集まり、法案通過反対の声を上げていた。40代の女性は「これだけ不安に思う人がいるのに、通過を急ぐのはおかしい」と吐露。スーツ姿の30代の男性は、「法案がどうというよりも、国民と対話をしないで自分たちの通したい法案を通すという姿勢に腹が立ったので来ました。今回、法案通過までの過程は、民意軽視が際立っていると思います」と、政治の民意軽視に対して抗議の声を上げていた。
民主、生活、共産、社民と採決に反対する勢力も少なくなかったが、多数の自民党が半ば強引に採決。参院では、特定秘密の範囲などについて、議論される見込み。
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