＜ラ・フォル・ジュルネ"鳥栖"＞
　前回のお話では、現在２期目を務める橋本康志鳥栖市長が、音楽でまちづくりを成功させ、フランスで一番元気の良いまちと言われるほどになったナント市に着目し、2010年２月に私費でナント市のラ･フォル･ジュルネを視察に行ったところまでお伝えしました。

　それからの市長の行動は目を見張るものがあります。帰国して、５月にはラ・フォル・ジュルネ開催中の金沢市を視察します。地方都市で開催されるラ・フォル・ジュルネの様子を見て手ごたえを感じたのでしょう。９月にはラ・フォル・ジュルネの創設者であるルネ・マルタン氏が鳥栖市を訪れる、というところまで漕ぎつけます。ルネ・マルタン氏は、鳥栖市の様子を見て、山が間近に迫る景観がえらく気に入ったとのことで鳥栖市での開催にOKを出します。

　これを受けて橋本市長は、早速予算化に当たります。12月の議会で予算計上し、11年初頭から開催準備にとりかかります。11年５月の「ラ・フォル・ジュルネ"鳥栖"」開催までの準備期間はわずか３、４カ月しかありません。スタッフも大変だったことと思われます。そういった経緯で11年５月の連休に鳥栖市でのラ・フォル・ジュルネが開催されるに至るわけです。

　マーケティング的に見ますと、市長がトップダウンで意思決定を下し、北部九州の音楽市場、鳥栖市民のまちづくりニーズへ素早く対応し、おそらく他にも競合都市があったであろうこの音楽祭の導入に成功したのです。
　日本の企業はボトムアップ経営、欧米の企業は、トップダウン経営とはよく言われるところで、この差が今の我が国の活力を削いで"失われた20年"を招いたとも考えられます。その点、この橋本市長の英断は素晴らしいものがあると思います。

　さて、「ラ・フォル・ジュルネ"鳥栖"」は、今年で３回目を終え、その効果を見ることにします。
　ただ、ここまで書いてきて大変なニュースが飛び込んできました。
　なんと！「ラ・フォル・ジュルネ"鳥栖"」の2014年開催が中止になったとのこと。興業を受け持つ制作会社がいきなり契約金を１.５倍とふっかけてきた（表現が悪くて失礼）のです。新たに1,500万円～2,000万円の調達が必要となり、これが困難になって断念したとのこと。なんということでしょうか。
　写真は、これを報じる新聞記事を掲げます。イベントの波及効果については、次回お知らせいたします。

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