食品偽装表示問題が相次いでいるが、利用客の立場である消費者はどのように思っているのか、座談会を緊急開催した。20~30代の若い世代の消費者は、この問題をどう受け止めたか、なぜこの問題が起きたのか、様々な意見が飛び交った。
Rさん
20代後半、女性会社員。未婚。
Sさん
30代中盤、男性会社員。既婚。
Tさん
30代前半、2児の母。以前はホテル従業員。「新米ママTさん」として流通メルマガ、毎週金曜日の店舗ウォッチングで執筆。
Uさん
20代前半、女性会社員。未婚。社会人1年目。
<美味しいものならば正しい表示で勝負を>
――この問題がここまで大きくなった要因は何だと思いますか。
Tさん 問題発覚は、厨房スタッフの内部告発でしょうか。上下関係も厳しい料理人の独特の世界があると思います。耐えられず、辞めるからいいやと思って告発したのかもしれませんしね。
Uさん 私は社会人1年目でそれほどお金に余裕がないので、高級だから良い、高級だから食べたいという気持ちにはなりません。
高級食材に限った話ではなく、もし本当に美味しいものを出している自負があるならば、高級食材を謳った偽装表示を行なわず、正しい表示で自信を持って堂々と出せばいいのにと思います。正しい食材で、それに見合った表示をすれば、何も問題はありませんから、ブランド食材に依存する必要はないと思います。
美味しければ、高級食材を使用していなくてもお客さんはついて来ると思います。ただ、そのような消費者ばかりではないので、高級食材の名前に惹かれて利用するというケースもあるのでしょう。だから、これほどまで大きな問題になったのだろうと思います。
Sさん 普段の買い物で安い食材を購入する場合、価格と品質のバランスを考慮し、納得したうえで購入します。納得して買っている以上、安い食材の品質が悪かろうが承知のうえですから、それ自体には何の問題もありません。
ただ、今回の問題のように、高級食材を謳って、付加価値の部分を大きくしていたのにもかかわらず、それが異なっていたとなれば、消費者は納得しません。裏切られたと言われても仕方ないと思います。
商品の名前や打ち出し方で、価格や売れ行きが変わるということも理解はできます。いかに消費者に受けるかということを模索した結果でしょう。初めはキャッチコピーと品質が吊り合っていたのでしょうが、やがてコピーが1人歩きして虚像をつくり出してしまい、そういったものが積もり積もって今があるのかな、とも思います。
今回の偽装表示は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)違反にあたる。消費者庁は、一連の食品に関する偽装表示の問題を受けて、現在よりもより厳しくなるような景品表示法の改正法案を来年の通常国会に提出する方針を示している。
問題の要因には様々なものが考えられるが、偽装表示を行なっていた企業が記者会で「誠意が足りなかった」と頭を下げれば済むような簡単なものではないことは明らかだ。これまでも食の安全に関する問題は、何度も生じている。問題を起こした企業には早急な再発防止策が、国には2度と問題が発生しないような仕組みづくりが求められる。
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