家庭などの電気代に上乗せされている「再エネ賦課金」のうち、約1,000億円以上がそのまま電力会社のフトコロに?
自然エネルギー財団・木村啓二上級研究員が、レポート「回避可能費用の計算方法に関する分析」で、電力会社の再生エネルギー買い取りに伴う再エネ賦課金において、実態よりも約1,000億円から1,400億円が過大になっていることを指摘した。このことは自民党の河野太郎衆院議員らのブログで広まり、「経産省によるぼったくりか!?」と物議を醸している。河野議員らは自民党の無駄撲滅プロジェクトチームとして改善に乗り出した。
<計算手法がおかしい>
「回避可能費用」とは、電力会社が再生可能エネルギーを買い取ったことにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用。家庭など電力消費者の電気代に加算されている再エネ賦課金は、買い取りの経費および事務経費から、回避可能費用を差し引いて算出する。
再エネ賦課金は、電気代に上乗せして徴収されるため、消費者の負担となる。買い取り経費全体から差し引く回避可能費用についても、明確で公正な計算が求められるが、現状、実態からは遠い計算手法による金額が算出されている。自民党の河野太郎議員は、自身のブログで、この計算方法について解説し、「経産省によるボッタクリ」と批判している。
同ブログによると、実際に電力会社が自然エネルギーを買い取った分、発電所を動かさなくて済んでいるのは、経済合理性から言って運転コストの高いものを止めることになる。現状では、火力(石油火力、LNG火力)となるが、経産省は、原子力、水力などを合わせた全電源の平均値を計算に採用。ボッタクリと言われる所以は、水力にかかる燃料費はほぼゼロに近く、今、原子力は稼働していないにも関わらず、原子力と水力を回避可能費用の計算に入れるのは理に合わないというものだ。
<水増し請求?>
この問題を取り上げた自然エネルギー財団・木村啓二上級研究員は、「経産省の出した値は実態からは遠い。電力消費者が困るので是正してほしい」と語る。木村氏が妥当とする試算と比べると、企業・一般国民の電力消費者は、約1,000~1,400億円も余計に電気代を取られているという。
再エネ賦課金というシステムを使った『水増し請求』とも言える。河野議員ら無駄撲滅プロジェクトチームが、これを改善すべき問題と捉え、11月25日の無駄撲滅プロジェクトでのヒアリングで取り上げた。はたして、経産省によるぼったくりは解消されるのだろうか!?
【岩下 昌弘】
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